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ベント(弁当)×酒!著者と編集者で語る『するりのベント酒』 │ 週刊漫画ゴラク新連載記念


紙版『週刊漫画ゴラク』12/15号より、4号連続NFTデジタル特典企画が開始します。特典内でしか読めない、紙版本誌未収録の新連載『するりのベント酒』もいよいよ連載を開始!(※)

『するりのベント酒』第1話表紙 ©久住昌之・こしのりょう/日本文芸社

原作は『孤独のグルメ』『食の軍師』でもお馴染みの久住昌之(くすみまさゆき)先生、作画は『Ns’あおい』『バウンスバック』でお馴染みの、こしのりょう先生が担当。人の機微を描き続けてきた2人の初タッグとなる本作品。
新連載を記念して、著者のお二人と週刊漫画ゴラク編集部をお招きした、トークセッションを11/22(水)に開催しました。そこで語られた新連載に至るまでのエピソードを公開します!
作品本編は12/1(金)より発売となる『週刊漫画ゴラク』の特典にてお楽しみください。

※各1話ずつが紙媒体本誌の毎週のNFTデジタル特典となります。5話目以降は本誌で掲載します。


『するりのベント酒』

原作:久住昌之 作画:こしのりょう
(あらすじ)
主人公・三波祐助(みなみゆうすけ)は、人から頼まれると「断れない」優しい性格のサラリーマン。会社の同僚、取引先などのお願いを聞いては大忙し。そんな彼の楽しみは、ベント酒。弁当を食べ、酒を飲んでいる時は、全てを忘れて自由を全身で感じるのだ。そして、時折思い出すある女性
が……。ミステリアスな一面も香る美味満載食物語。

『するりのベント酒』©久住昌之・こしのりょう/日本文芸社

登壇者紹介

――『するりのベント酒』連載のきっかけ

久住先生:元々はエッセイで、『夕刊フジ』という日刊新聞に週刊で連載をしています。連載を始める時、ちょうどコロナで飲食店が次々と休んだり、時短になったり...世の中が非常に不自由になっていた。担当者は「お酒を飲む連載にしたい」ということだったので、どうしたら閉塞的な当時の状況で、おもしろくお酒を飲んだりできるかなと思ったんです。
その時に、新幹線などに乗る時、弁当と缶ビールを1個買って、座席で食べて飲むと、それだけで、楽しいじゃないですか。それを新幹線じゃないところでやってもいいんじゃないか、と思ったんです。弁当なら好きなところで食べられる。弁当1個の時間と酒で新幹線の中なら満足したじゃないか。そんな風に現状から「するり」と抜ける抜け道があるんじゃないか。そんな気持ちで、「ベント酒」を始めたんです。
弁当って駅弁、コンビニ弁当、奥さんや親に作ってもらった弁当などもあるし、あるいはおにぎりも弁当と解釈することができる。日本の弁当はすごく幅広く、奥が深い。それで、実際いろんな弁当を買って、食べてエッセイを書き始めたらすごくおもしろくて、 ネタが尽きない。そうやって連載が溜まって、単行本『するりベント酒』(カンゼン刊)になったんです。

久住先生:そしたら漫画ゴラクの櫻井さんから「これ漫画にしませんか」と連絡がきて...そういう抜け目のない人でね(笑)。
ボクはエッセイとして書いたけど、主人公をたてて、ストーリー漫画にしようということになりました。それで櫻井さんからこしのさんのお名前が上がったんです。こしのさんはどうでしたか?

こしの先生:実は仕事が終わってから夜中に『孤独のグルメ』をついつい見ちゃうんですけど。

久住先生:ついついって、いけないことみたいじゃない(笑)

こしの先生:そのいけないことみたいな感じが、すごく久住さんっぽいなと思って...なんで見ちゃうのか、今回連載のお話をいただいて弁当を食べる、ごはんを食べるということがこんなに楽しいんだ、ということに気づかされた。今まで漫画を描きながらご飯を食べていたときは、味とか関係なく食べていたわけですよ。そういう生活を20年くらいやってきたので、改めてご飯をちゃんと食べてみる、みたいな。だから『孤独のグルメ』も見ていて気持ちがいいんだろうなと。それを漫画に落とし込んでみるとどういう風な表現になるかと思いながら描き始めました。
すごく面白いですね、不思議なもので描いているときも食べている気分になりますね。

久住先生:嬉しいですね。櫻井さんはなんで漫画にしようと?

櫻井氏:久住さんとご一緒するのは今回で4作目。こしのさんとも以前ご一緒していて6〜7年前くらいになるんですが、ずっと連絡はとっていたんです。久住さんの緻密で自由な原作に対して、最初に思い描いたのがこしのさんの絵でした。こしのさんの描く表情豊かさとすごくマッチするんじゃないかと思い、直感のようなものがあったんです。

――『するりのベント酒』が完成するまでの道のり

久住先生:ボクは原作に対して出来上がってきた漫画を見てから、なるほど、こうなったのか、だったらこのセリフはこう変えよう、っていうのが必ずあるんです。絵に合わせて言葉を変える。そうやってだんだんキャラクターが固まっていく。さっき話しに出た『孤独のグルメ』で谷口ジローさんとご一緒した時も最初は本当に手探りで、3話目くらいから谷口さんも「あ、なんかできそうだ」とおっしゃってくれて...今回の『するりのベント酒』もNFTデジタル特典で4話までやるじゃないですか、それを続けて読んでいくと、別の意味でおもしろいと思います。主人公が、お話の中でだんだん生き生きとしていくのがわかるかと思います。

こしの先生:私が一度漫画にして、久住さんがもう一度赤をいれてくれるんです。それがすごくおもしろいんです。それが楽しみで描いているところもあります。

久住先生:描いてもらったあとにセリフを変えちゃってごめんなさい(笑)。それは、結局、漫画は絵だからです。絵に合ったセリフを入れると、ぐっと面白くなる。
そういえば、今回の第1話〜2話を読んでから櫻井さんが「タイトルどうしますか」って聞いてきたんだよね。

櫻井氏:全然違うタイトルもいいんじゃないかと。

久住先生:ボクも、言われてみたら「するりベント酒」のままではわかりにくいという気もしてきたんです。じゃあ、どうしようかなと。エッセイはボク自身の言葉でボクの視点なんだけど、こしのさんは新たに独自の主人公を作ってくれたし。いっそ主人公の苗字を「するり」にしてしまおうか、とも思った。でも、それもちょっと違うんじゃないかなとも思って...。そしたら主人公の近くにちょっと謎めいた女性が出てくるんです。その人を「するり」にしちゃったらいいんじゃないか、と思い付いた。それを櫻井さんに言って『するりのベント酒』になった。
そういう簡単なことが、ものすごくオリジナリティを生むことがあるんですよ。

久住先生:『孤独のグルメ』も連載するにあたって企画したり、取材に行ったりしていた時、タイトルがついていなくて...担当の人から「いよいよ連載が始まるんですけど、あの孤独なグルメの話みたいな漫画...タイトルどうしますか」と言われて、ボクがその電話口で咄嗟に「そのまま『孤独のグルメ』でいいんじゃないですか?」と言って、それに決まった。でもそこが大事なところで「孤独なグルメ」と「孤独のグルメ」は全然違って、「孤独なグルメ」だとさみしいもの、ロンリーグルメになっちゃうんです。だけど「孤独のグルメ」にすると孤独を楽しんでいるグルメの話になる。だから『するり「の」ベント酒』とした瞬間に、『するりベント酒』がエッセイとは全く違うものになったような気がします。

川口氏:漫画業界でタイトルに「の」が入るとヒットすると昔から言われていますね。『鬼滅の刃』や『ミナミの帝王』、『孤独のグルメ』とか...今回「の」が入った瞬間にこれはヒットするなと。

久住先生:あはは、そうか。だったらみんな「の」をつけちゃえばい(笑)「かっこいいのスキヤキ」「ダンドリのくん」とか。

こしの先生:今回作りながら話が変わっていくのが楽しかった。2〜3話くらいまで行ったり来たりしながら作りましたよね、それが楽しくて...それが作品に出ているんじゃないかなと思っています。

久住先生:漫画連載は4話ぐらいで、だんだん何かがわかってくるもんなんですよね。これからがボクは楽しみですね。

こしの先生:食漫画って1話完結で作るパターンが多いんですけれど、今回は繋がって読めるようにしたのでそこも楽しんでもらえると嬉しいな。

久住先生:ボクらが試行錯誤しながら作ってるものが、だんだん見えてきたぞ!という体験を4話読めばしてもらえる気がしますね。

久住 昌之(くすみ まさゆき) マンガ家・ミュージシャン
1958年生まれ、東京出身。
1981年、泉晴紀(現・和泉晴紀)と組んで「泉昌之」名でマンガ家としてデビュー。
1999年、実弟の久住卓也と組んだマンガユニット「Q.B.B.」の「中学生日記」で、第45回文藝春秋漫画賞を受賞。
2019年には絵・文を手がけた絵本「大根はエライ」が第24回日本絵本賞を受賞。
根強い人気を誇る谷口ジローとの共著「孤独のグルメ」は、2012年にTVドラマ化。劇中全ての音楽の制作演奏、脚本監修、最後にレポーターとして出演もしている。
その他、主な作品に「かっこいいスキヤキ」「新さん」「ダンドリくん」「食の軍師」(以上、泉昌之名義)「花のズボラ飯」「野武士のグルメ」「これ喰ってシメ!」などがある。

こしのりょう マンガ家
1967年生まれ、新潟県出身。
1987年、モーニング四季賞冬のコンテストで佳作を受賞。大学卒業後は広告代理店に勤務しつつ、漫画の投稿を続ける。
2004年、「Ns’あおい」にてデビュー。医療現場の厳しい現実に悩みながら、明るく前向きに患者に向き合う看護師・美空あおいを描いた同作は、老若男女問わず幅広い読者層から支持を集め、2006年にはTVドラマ化された。
その他、主な作品に「町医者ジャンボ!!」「Dr.アシュラ」「銀行渉外担当 竹中治夫」などがあり、現在は「週刊現代」(講談社)にて、ゴルフ漫画「人生はバウンスバック」日本看護連盟 機関誌「N∞ [アンフィニ]」にて「HANA♪うた」を連載中。


週刊漫画ゴラクは☆毎週金曜日☆発売

定価:480円(税込)
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<NFTデジタル特典付き『週刊漫画ゴラク』発売予定日>
12/15号 12/1(金)発売
12/22号 12/8(金)発売
  ③12/29号 12/15(金)発売
      ④1/5・1/12合併号 12/22(金)発売

※全国のコンビニエンスストア、書店で販売。一部の店舗では取り扱いがない場合があります。また、一部の地域では発売日が異なる場合があります。

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※電子書籍にはNFTデジタル特典は付随しません。ご購入の際はお間違いなきようご注意ください。
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