国立競技場の大庇のルーバーってフェイクだって?知ってた?

 山本想太郎さんが出版した「超 インテリアの思考」の中に書いてある一文に腰を抜かしました。
 何故腰を抜かしたかは後にして、山本想太郎さんというひと、1966年生まれの建築家。山本想太郎設計アトリエを主宰しています。私より30年近くお若い。
 実は彼が書いた「みんなの建築コンペ論」(NTT出版)を読んで「とんでもない楽観論だ」と「はしがき」に書いて出版したのが私の「建築コンペなんてもうやめたら?」です。
 彼が私の本を読んだかどうか知りませんが、「吉田さん、分る?」と 送ってきたのが「超 インテリアの思考」という本。いや、なかなか面白いから読むことをお薦めします。(トイレにフタがあるのは何故か?)・・とか、本の売り方知ってるね。
 で、肝心の腰を抜かした話ですが、こんなことを書いています。
「『国立競技場』は外部から見ても『木』の印象が強い。特に『風の大庇』と呼ばれる頂部の庇を覆うルーバー材は象徴的である。しかしこのルーバーは実際はアルミ材の表面に木目をプリントしたものであり、材料に木の成分は含まれていない。」
 この一文に腰を抜かしたのです。30年昔の私には、あってはならないことだし、してはいけないことなのです。
 しかし彼は、堂々と「しかしこのフェイクを知っている私であっても、この色調にある種の和み、癒し、更には和の伝統性までも感じてしまう。」ですって。
 「山本さん! 穂積研だろ?! サーリネンの話を聞いて育ったんだろ!? よくそんなことが言えるね!」と怒りが湧いてくるが、かれの本気度は「その心情の分析は、なぜ木を用いるのかという問いを超え、建築における木とは何かと言う本質的な問いにまで遡及する」だって。 
 全部読んでみないと分からないが、彼が「超」えようとしているのは自分自身ではないかと思うのだが・・・          (超インテイアの思考・山本想太郎著・晶文社刊 ¥2,200)

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