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ドイツの10月

ドイツではハロウィンの決まり文句を、英語の"Trick or Treat" を訳して "Süßes oder Saures" と言います。

Süßesは甘いもので、Sauresは酸っぱいもの、という意味なので、直訳ではないですが、同じような意味合いです。

ノックされた扉を開けると、

「ズーセス オア ザオレス。。」

と子供たちが小声でオドイドしながら囁きます。
知らない人の家をピンポンするのも勇気がいるものです。その後ろには大抵、ニコニコと笑顔の保護者が立っていますが。

おっとっと、ハロウィンだった!
「ちょっと待ってね」と言ってドアを一度閉める。キッチンを漁ってお菓子を見つけて急いで戻って、

「はい、どうぞ」

ウチの子供も去年、顔を白く、目の周りを黒く、口の周りは血のような赤色を塗りたくって、アパートの階を行ったり来たりしながら人様の家をピンポンしました。
するとさっきウチにお菓子をもらいに来た子供の家だったり。お父さんが笑いながらお菓子をくれました。

お互いに与えあって、もらいあってるの、ちょっと面白い。

チョコエッグやドイツの定番のミルカの板チョコをくれたり、ちゃんとお菓子を用意してくれている家庭もあれば、開かないドアもあります。ですからピンポンを押す子供はドアの前でドキドキです。

ハロウィンのために、おどろおどろしいドアに仕立て上げている家もあります。ドア一面に怖い顔が描かれた布が被せてある。怖すぎてピンポンが押せません。

さて、今日は2023年のハロウィン。私は17時半過ぎに帰宅したので、今日は誰も来ないのかしらと思っていたらピンポーン。
ドアの覗き穴から覗くと、私と同じぐらいの身長ですっぽり顔にマスクを被った人物が立っている。顔面部分が黒い。

こ、怖い!

正直ドアを開けるか一瞬迷った。しかし日本人よりドイツ人の方が平均的に大きいように、ドイツ人の子供も結構大きかったりするのです。小四で中学生みたいな子もいますし。

恐る恐るドアを開けると、この覆面君は小さい声で

「ズーセス オア ザオレス」

と呟くではありませんか!
そして後ろにちょっと離れてお父さんがこちらに笑顔を向けています。
ちょっと待っててね、と言ってキッチンからグミを持ってきて再びドアを開けたのですが、そこにはもう覆面君とお父さんの姿はありませんでした。

やっぱり怖い!

その後女の子二人が保護者つきで来ました。私より背が高いうえに、骸骨みたいなメイクをしているので、もう年齢が読めません。

その後もピンポンが鳴りましたが、夜の7時半をすぎていたので開けませんでした。

そろそろお家戻っておくれ。お化けさん。



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