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映画『太陽を盗んだ男』 (1009文字)

 映画『太陽を盗んだ男』は、一度だけ劇場で観ました。この映画を見に行ったのは、テレビ予告でマツダサバンナRX7のスタントシーンが凄かったためです。それ以上の期待はしていませんでした。

 何しろ一度しか観ていないので、詳しいことは忘れましたが、主演は沢田研二(ジュリー)さん、共演に菅原文太さん、西田敏行さんを覚えています。
 あと、覆面パトカーがマツダのコスモだったことでしょうか。

 内容は、ある男(沢田)がプルトニウムを盗み、それから核爆弾を作り政府を脅迫します。この映画は、その爆弾男(沢田)と、その核爆弾を奪取し犯人を確保しようとする警察(菅原)の物語です。

 プルトニウムの強奪や、中盤以降のカーチェイスは素晴らしいシーンとして記憶しています。しかし、それにもまして犯人が家庭にある電化製品を使って強奪したプルトニウムを精製するという設定が斬新でした。
 犯人は放射線には注意していたのですが、油断から被曝してしまいます。
 この被曝とは、放射線に曝(さら)されることですが、犯人がプルトニウム精製作業を行っていたのは団地の一室です。つまり、その犯人の部屋から一定の距離にいる人々はみな被曝しているわけで、一種の無差別テロと言えるでしょう。
 このことから、私は主人公の爆弾男に一切感情移入できなくなりました。
 でも、よく考えてみるとこの映画全体をとおして、この爆弾男はろくなことをしていません。要所要所でカッコいい立ち振る舞いをしますが、全体としては国民を核の脅威にさらしているだけです。
 この主人公は、劇中で被曝による健康障害の兆候を見せはじめます。いずれは放射線で死ぬのか、核爆弾を爆発させて爆死するのか、警官に射殺されるのか、私が「人の迷惑にならないように死んでくれ。」と念じているうちに映画は終わりました。
 この映画の監督は、自らが胎内被曝者だということなので、この映画を見直せばまた別の発見や触発があり、この映画や主人公の見方が変わるかもしれません。

 この映画を観てから何十年もしてから、あるならず者国家が核実験を成功させ、核爆弾を保有していると報道されました。「通常兵器ではかなわないから、核で自衛する。」というのがそのならず者国家の言い分のようですが、それを聞いたとき『太陽を盗んだ男』を思い出しました。

 核を脅迫の道具にする者には、悲惨な末路が待っているように思います。

#太陽を盗んだ男 #プルトニウム
 

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