245 善行為はみんなでやる

 一般的に善行為は、一人でやるよりはみんなでやる方が徳が高いのです。ですから、お寺にお花を供えようと持っていっても、そこに誰かいたら、誘って一緒にお供えした方がよいのです。それもちょっとした心のからくりだと思います。自分がすごいお金持ちで、自分一人でお寺でもなんでもつくろうと思ったらできるかもしれませんが、それではもしかしたら、「私が、このお寺をつくったのだ」と、自我意識が強くなるかもしれません。それでは善行為の中の悪業になってしまい、もしそうなると、せっかく善行為をしたのに、その分だけ損になるのです。仏教では、「善行為を自分一人でやるなら、それは徳が少ない。同じ善行為を十人、二十人、百人でやったら、それだけ徳が高い」と考えます。その分だけ自我意識が減って、助け合って、徳を分け合う心に自然に成長できるからです。そのため、誰でも徳が大きい方がいいですから、自分一人でできることでも、みんなを誘って「お花を一緒にお供えしてください」などとやるのです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第4章 幸福に生きるための秘訣《慈しみ》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【ブッダの実践心理学 第五巻 業(カルマ) と輪題の分析」 藤本晃氏との共著(2009年) p236】

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