223 自分のものは何一つない

 実は、この世の中で「自分のもの」といえるものは、一つもありません。この身体も、知 識も、その他の持ち物も、すべて他人から得たものです。他人からもらうもので身体は成長しました。知識も、誰か他人から教えてもらいました。皆さんがしゃべる日本語にしても、生まれつき話せたわけではないでしょう。カラスがカーカーと鳴いているように、生まれつき獲得していたわけではなくて、他人から教えてもらったのです。それから、持ち物はどうでしょうか。服、家、家具、パソコンなどなど、すべてほかから与えられたものなのです。自分が持ってきたものはありません。ですから、人は誰でも、調子に乗ってはいけないのです。「いろいろなものをいただいて、生きることができているのだ」という事実を認めることが大切です。そこで「道徳」が成り立ちます。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第4章 幸福に生きるための秘訣《道徳》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【的中する生き方 役立つ初期仏教法話10 (サンガ新書(2009年) p89】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?