107 人間関係も一時的なもの

「このバラは赤い」というのが、無智な私たちの普通のとらえ方ですが、無智を破って智慧のある見方ができるようになると、現象というのは、すべて因縁による一時的なものだとわかるのです。明るい太陽光が当たれば赤、純粋な青い光や紫外線、赤外線が当たればまた別の色、白い光が当たれば別の色、室内では別の色……となります。そういうふうに考えていくと、「本当は何色だろう?」と知りたくなるでしょう。しかし、「本当の色」などというものは存在しないのです。本来、「本当にこの色だ」というものはないのです。すべて一時的です。人間関係でも同じです。Aさんが、あなたに「私は田中さんのことは大嫌いです」と言ったとします。「どうして?」とあなたが聞くと「あの人は裏切り者だから」とAさんが答えたとします。そのときあなたは「ああ、そうなんですか」で終わらなくてはいけません。もし、「ああ、そうですか、やっぱり田中さんは悪い人なんですね」と、決定するとひどい目にあいます。もしかすると次の日には、Aさんは田中さんと仲良くしている可能性があります。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第2章 仏教の教えを理解する《無常》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【バカの理由 役立つ初期仏教法話12 (サンガ新書045) p116】

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