笑う君へ 第九話 「傷痍」
初めて会った日の翌週
田:おはよ~
男1:おはよ、まゆちゃん
男2:賀喜さんと遠藤さんもおはよ!
遠:あ、おはようございます..
賀:おはよう
〇〇くん、おはよ!
〇:おはよう
男3:…ちっ、あいつだけよ…
男4:なぁ…
◯:はぁ…
(面倒だなぁ)
田:なぁ~に、難しい顔してんの?笑
◯:逆に笑顔すぎて怖いけど…
田:いやだなぁ、何もないって バシッ
賀:まゆちゃん!
田:も~、私がばらすわけないでしょ!
賀:あっ….
遠:まゆちゃん…
田:あ…
男1:まゆちゃん、おっちょこちょいだなぁ笑
男2:かわいいなぁ~
男3:連絡先交換しよ~
田:それはちょっと…
男2:そいつとはしたんだろ?
◯:してねーよ
男3:嘘だね
自分だけいい思いしようなんて良くねーぞ
教:お~い、そこ何やってんだ~?
授業始めるぞ~
一同:は~い
男?:チッ
◯:ブブッ
ん、誰だ?
教:先週の課題の発表してくれ、まずは・・・
~~~~~
教:次、大野の班
◯:はい
~~~~~
賀:・・・・
以上が、班目標です
田:その一環として、今日、授業後に大野くんの家に行くことに決まっています!
◯:え?
田:いってたじゃ~ん、先週ぅ
まさか忘れたの~?
◯:いや、僕、聞いてなi
田:またまた~ バシッ
以上で~す!
~~~~~
キーンコーンカーンコーン
何人かはすぐに教室から出て行き、目立つ3人と〇〇の周りには人だかり
田:ってわけで、行くよ!
遠:わ、私からもお願いします!
賀:先週置いてったんだからねえ
女1:でも大丈夫なの~?
女2:アイドルだし、厳しいんじゃ…
◯:どうせ、何いっても来るんでしょ?
マネージャーさん一緒の方がいいから、合流してて
ちょっと寄らなきゃいけないところあるから
田:いつ来れるの?!
◯:ん~、わからんなぁ…
あ、この後、仕事入ってるのか?
事務所でも行っててくれ、そう遠くないから、そこから
賀:本当に来るんでしょうね?
◯:来なかったら、来週もみんなの前で言うんだろ?
ブブッ
◯:あ~、催促来てるからまた後でね
ガタッ
遠:なんだろうね、あんなに急いで…
賀:う~ん、彼女が実はいるとか?
田:いたら、私たちと一緒は許してくれないんじゃない笑
賀:そうか笑
とりあえず、戻ろっか
遠:うん
じゃあ、みなさん、また来週
女1:じゃーねー
男1:おれ、諦めてないから~笑
男2:俺も~笑
~~~~~
ガチャ
◯:用件はなんとなくわかるけど、やめてほしいな、こういうの
男3:お前が学校辞めればいいだけじゃね?
男4:前科持ちみたいなやつがあの3人と同じ班とか終わってるだろw
男5:まぁ、ここに一人で来た度胸だけは認めてやるよw
元アスリートでも、3人相手に勝てるかなぁ??
◯:いや、大学の教室内とはよくやるよ
考え直そうぜ
男4:そういう態度だよ、日本のダイヤくん?
男5:元、だけどなw
男4:それなw
あ、ちゃ~んと諸々の設備は止めてあるからバレないよ
◯:はぁ
男3:じゃあ、やめたくなるようにしようかな
フンッ フッ ブンッ
3人相手とはいえ、机をうまく使って距離を保ち、どうにかいなす〇〇
男3:埒が明かねーな
男1:おまちどーさまー
ガンッ
男1:さあ、金属バットのお出ましだぜ?
◯:(やべーな、こりゃ)
左からフルスイングされるバットを避けきれないと判断し
咄嗟に左腕を折りたたみ、衝撃を和らげようとする
が、激痛が走り、途端に上がらなくなる左腕
痛みに気を取られ、正面からの打撃をモロに喰らう
ガードの消えた左顎へのストレート
一瞬で遠のく意識と、足がもつれ衝撃で倒れる体
無意識のうちに半開きの本棚に後頭部から突っ込む
棚に沿って体は滑り落ち、尾てい骨を強打
上からは本に小物にガラスの破片
払い除ける術もなく、頭部からとめどない血が流れ出る
男1:….やりすぎたくね、これ….
男3:やばいな….
けど、ばれないなら、さっさと逃げようぜ
男4:けど、ガチで死ぬぞ、こいつ…
男3:事故だよ事故、バレても揉み消してもらうぞ!
ほら、さっさと出よう
男5:….大丈夫か…
男6:いったん、外出て考えよう
ここにいるのバレたら終わりだぜ
~~~~~
賀:う~ん、本当に私たち連絡先知らなかった…
田:誰も交換してなかったね、そういえば…
遠:あすぴーさんに聞いてみる?
賀:流石にねぇ….
あ、先週の入館記録でわかるんじゃない?
田:でも、なんていってみるのよ
変な人だと思われるよ….
遠:結局、逃げられちゃった…
う~ん、嫌われちゃったかな…
賀:連絡もなく断るような人じゃないと思うんだけどなあ
マ:(私は連絡先知ってるけど、内緒よねぇ)
(こっちにも連絡ないから、電話だけかけてみるか…)
~~~~~
賀:もう始まるね、収録
田:ま、切り替えてやるしかないね
遠:あとで謝ろ
マ:何かあったら後で教えるから、仕事に一回集中して
三人:は~い
マ:(あなた、こんなに連絡見ないわけないわよね…)
~~~~~
16時30分
遠くに聞こえるチャイムが〇〇の意識をかすかに現実に引き止める
もやのかかった頭を左腕の激しい痛みがつん裂く
同時に、体重を預ける腰にも鈍い痛みが走る
助けを予防にも手足に力は入らない
かろうじて動く右手で掴み取ったスマホにはマネージャーからの着信履歴
途切れ途切れの意識と冷え切った指先で折り返しをかける
マ:もしもし、今どこ?
◯:大学の….芸能科…..4階に…..救急車を……
マ:救急車?!!
何が起きてるの??
◯:おねがい..しま….s
マ:ちょっと?!
電話切らないでよ??
◯:・・・
マ:何か答えて!
すぐ、呼ぶから!!
◯:….内々で….処理を…..
マ:大ごとにするなってこと?
◯:・・・
マ:ちょっと!
~~~~~
意識を取り戻し、目を開けると、白い天井
ではなく、真っ暗な部屋だった
規則的な電子音と記憶の中にある薬品の匂いが
今いる場所を病院とわからせた
ナースコールをすると夜中なのに、看護婦以外にも大人が数名
医:まだ安静にしてなくちゃいけないんだけど、
気分が悪いとかはないかな?
◯:はい
医:それはよかった
自分の名前とか記憶ははっきりしているかな?
◯:大野〇〇です
誰に殴られたかも記憶していますね、悲しいことに
医:そうか、その件は後ろにいる今野さん達としてくれ
すぐ来れるようにしているが、くれぐれも無理のない範囲でな
ガチャ
今:すまないね、まだ体調は良くないだろうに
マネージャーが内々にって言ってたから何も公表していないが
◯:ええ、同じクラスのやつなんですよね、やってきたの
裁判沙汰とかはしたくないので、ここに呼んでもらって
今:いいのか、それで
◯:もちろん、お金とかは請求しますよ
私が怪我して、彼らが辞めたら誰でも関連に気づくので
そういうのはやらないで済ませられればいいんですけど
今:じゃあ、あっちの事務所には私から連絡しておこう
◯:お願いします
今:じゃあ、誰がやったのか詳しく・・・
~~~~~
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