化學

かがくではなく『ばけがく』。 自分が体験した怪しげな出来事を書き留めております。

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最近の記事

猫眠る

草いきれのする暑い日だった。 親父が庭で汗だくになって穴を掘っている。 「猫ちゃん眠ったみたいだわ」 半ば独り言のように呟いていた。 小さい頃、親父が事務所に捨てられていたりする動物を頻繁に家に持って帰ってきた。 最初に拾ってきたのは雑種の犬だった。毛がフワフワしていてシルエットが丸かったので、コロと名付けられた。 まだ弟が生まれていなかったので、コロは僕の兄弟代わりだった。毎日のように目の前の神社に連れ遊んだ。 その時僕が喜んだのに味をしめて、親父は蜥蜴だの蛇だの手当たり

    • 猫と女のいる牢屋

      数年前、大阪の九条に住んでいた頃、かなりの時間を近所のバーで過ごした。 バーと言ってもシャツにタイしたバーテンダーがカチャカチャやるようなのじゃなくて、近所のちょっとイカついニイちゃんが集まる男子校のようなバーだ。居心地がよく、寂しさを紛らわすのに丁度良かったのだ。 ある日、そのバーに珍しく新規の女性客がやってきた。年の頃は30前後だろうか、目力が強く、綺麗な顔をしていた。そのバーに女性がいる事が珍しかったので、みんなでその女の相手をする。 可愛い顔をしているのに中々気が強

      • 走馬灯についての考察

        小さい頃幽霊を見た。 弟の妊娠で母が入院していて、祖母の家に預けられていた時なので、5歳くらいだったと思う。その日は祖母が買い物に出ていて、ひとりで留守番をしていた。 小一時間経った頃だろうか、襖の奥、障子越しに祖母がゆっくりと歩いて行く影が見えた。襖は子供が開けるには重かったので、玄関に向かっていき、遠回りしながら、「おばあちゃん!おかえり!」と走って追いかける。 祖母が歩く廊下の先は物置に繋がっていて、他には何もない。廊下をサーッと滑って、ワクワクしながら物置の戸を開けた

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