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好き漫画を語る〜『生きてるうちに推してくれ』

『トクサツガガガ』が好きで、特に11巻の「弔い合戦」の回は「まだ道はあっても もう勝つこともできないマラソンを ただただ走るようなもの――」のモノローグに自分を重ねて感情移入してしまって、「それでも投げやりにならなければ、最後まで全力を尽くせばきっと無駄じゃない…そうなんだよね、吉田さん!!!」と泣きました。がんばります。
そんな丹羽庭先生の最新作がアイドル×オカルトコメディ『生きてるうちに推してくれ』。

『トクサツガガガ』作者、新境地コメディー
ファンは霊だけ!?な崖っぷちアイドル、生臭坊主と“祓い屋”始めました――

幼い頃から奇怪なものが“視”える体質のせいで、ぼっち人生まっしぐらだった吉良ミサキ。
そんな人生を変えたいと上京したところ、なんとスカウトされ、アイドルデビュー!
キラキラアイドル生活スタート!と思いきや、推してくれるのは霊ばかり・・・
アイドル生活も上手くいかず、クビ直前の日、不思議な力を持つ坊主に出会い――!?

『生きてるうちに推してくれ』第一巻amazon紹介文より

やはり丹羽先生は漫画が上手い…
物語の盛り上げ方やシリアスとコメディのバランスが良くて、「ああ、この流れ辛い」と思った頃にギャグシーンが来るのでずっと楽しい気分のまま読み続けられるのが最高。
1巻後書きで「読み切りが好き」と書かれていたけど、そう言われるととても納得で、短いページ数でも緩急がしっかりついてるんだなあ。

ところで生き推しではお坊さんがとてもイイです。ポジティブでガタイのいいお坊さん。イイ。
※但し霊感とデリカシーはない

『生きてるうちに推してくれ』1巻31ページ

ミサキとお坊さんにはそれぞれ抱えてる問題(ミサキはグループ内の確執と家庭の事情、お坊さんは跡継ぎ問題)があるんだけど、それぞれの収束の仕方もよかったな。

お坊さんの従兄弟のヒカルも最初は闇っぽいイケメンと思っていたのに、なんのかんの引っ込みつかなくなって意地はったりカワイイやつだった…

『生きてるうちに推してくれ』3巻164ページ
まだ闇っぽい感じだったヒカル

「なぜ善秀さん(お坊さん)には霊を祓う力があるのか?」という謎に対するアンサーもすごく好きだな。
ごちゃごちゃ考え込んでしまう性質なので、「(寺の跡継ぎが)本当にやりたいことなのか」と問われてこういう風にサクッと考えられるの羨ましい。

『生きてるうちに推してくれ』4巻164ページ


ヒカルの試し行動が一切通用しないこの感じ!

そしてオカルトあるあるというか、怪談とか聞いてるとよく「死者の霊は実はさほど強くなくて、生霊の方が厄介」という話があるんですが、まさにそれという話も出てくる。
まさかその「死人は無力」というのが、あんな感動の話につながるとは思ってなかったけど…!

『生きてるうちに推してくれ』4巻53ページ

時々差し込まれる上記のコマにあるような仏画っぽい演出がよくて、特にミサキのおばあちゃんが亡くなった時の回想シーンは辛いんだけどすごく綺麗でギューッと胸にきた。

好きなキャラでいうと幽霊のアヤメさん。彼女は死んでなお生命力に満ち溢れてていいな…

『生きてるうちに推してくれ』4巻150ページ

もっとミサキとお坊さんのお祓い見たかったな~とか、ヒカルも合流して幽霊不動産編も見たかったな~とか思うけど、また丹羽先生の新作を楽しみに待とうと思います。

ーーところで、怪談聞いてるとよく心霊スポット行った後に寺や神社で除霊してもらう流れになるけど、あれ実際どうお願いするんだろか。「心霊スポット行ったら憑かれたんです!除霊してください!」って正直に頼むんだろうか。
頼まれた側も「え…憑いてるのかな…分かんないけどやっとく…?」くらいの感じなのか。
わからないけど、とりあえず心霊スポットは怖いので近寄らんときます。

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