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春雨サラダからわかった話

家事代行の仕事をはじめてわかったことがある。
わたしは頑張りすぎると問題点を間違えて走る傾向があると言うことだ。要領が悪いとも言うのかもしれない。
要領の悪さは今に限ったことではなく、
誰かと恋がしたいと思って、腕にパワーストーンじゃらじゃらと身に付けたり、恋愛マニュアル本をノートに写したりしても彼氏は一向にできないのだ。問題点がずれている。


料理代行で春雨サラダを提供するために
有名料理研究家のレシピやら、人気インスタグラマーのレシピやらとりあえず色んなレシピを作ることにした。
どれも創造的で、わたしが思いつかない発想だらけ。はて、どれを選らんだら良いのだろうか。それに、わたしの過去の春雨サラダの記憶とは程遠い。


私の春雨サラダの記憶は、味付きメンマ、きゅうり、にんじんが少しだけ入っているだけの、ごま油と食塩で味付けした春雨が主役のシンプルなサラダ。オイルコーティングされた春雨は非常に体に悪そうなのに、中毒性があるこのサラダが大好きだった。値引きシールの付いたトレイが、食卓に並んでいたのを覚えている。


美味しい春雨サラダを提供したいと思う一心で、何度も何度も春雨サラダを作っては、主人の前に出した。飲み会でちょっと酔っぱらっていようとも有無を言わさず食べてもらう。
主人は仕事の関係で、非常に舌が肥えている。私にとっては好都合だ。
「パッとしない」「水っぽい」「春雨がかたい」とかあれこれ指摘をくれる。普段なら「口に合わないんだったら食べなくていいよ」なんて嫌味を言ってしまうところをぐっと飲みこんで次の春雨サラダに落とし込む。
何日かこれを続けていると「本当に春雨サラダはもういらない」と若干キレていたけれど、これはもう彼の使命なのだと勝手に思うことにした。



代行日前日になっても、まだ悩み続けていた私は
あーあ、もう春雨サラダの正解には近づけないかもしれない。
春雨サラダはもともとポテンシャルの低い料理だったんだよきっと。
とふてくされていた。
でも、ふとハッと気づいた。
そういえば同僚のママさんが「カニカマいいよ~」なんて言葉を思い出したのだ。


うまみだ!!!うまみが足りないんだ!!!



カニカマをこれでもか!と思うほど大量に入れることによって
でも自分市場最高に美味しい春雨サラダを一瞬で完成することができたのだ。

結局、悩みに悩んで一周回ってレシピ上位のレシピにカニカマを加えることによって解決した。カニカマってすごい。
よくよく見てみたらどの春雨サラダにも、ハム、ツナ旨味の素がたくさんつまっている。
調味料の微々たる差が問題なのではなく、
入っている具材と私の好みの問題だったのだ。


問題点を間違えると、間違った答えしか得られない。


目標になかなか辿り着けないわたしの努力を本当に努力というのか、勝手な空回りというのか
他人からどう思われるかわからないけど
美味しい春雨サラダを作れる自分になったことを成長したと思うことにする。




おわり




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