見出し画像

「恋と窓と花瓶」の解説

こんばんは。星水慕です。
実はリアルの友人からかなり好評をいただけていて、とても嬉しいです。
分かりやすさと小説の細やかさを舞台に起こした時の複雑さの折り合いをつける事を意識した作品になっています。
ト書きを凝ってみたり、色々工夫をしましたので、その一部をここで解説と雑談として取り扱っていこうと思います。
それではいきましょう。

まず、この作品の発想の始まりは私のちょっとしたスランプでした。
諸事情でしばらくの間脚本制作から離れており、久しぶりに書いてみようと思ったら、まったく書けなかったのです。
悲しみ。
ということで、自分の最初の作品のテーマである「電車」と、友人に貰った「花」というテーマで書き始めてなんとか完成まで持っていったという訳です。
創作時期は辛かったですね。悩みに悩みました。

・「電車」について
一方通行の単線の電車を人生に見立てているつもりです。よくある比喩表現なのでベタ過ぎるかとも思いましたが、スランプ期は変に気をてらったりはしない方がいいと思いました。いい判断だったと思っています。

・「車窓からの風景」について
車窓からの風景は、電車の主である第一人格の主人公が見ている世界の象徴的なイメージで書いています。目に映る綺麗なものや汚い物、興味のない物は、ジャンル分けをされた後の主人公の視界だと思って書いています。

・「花瓶を手に取る」について
恋心の獲得を比喩的に表現したいと思ってこの動作を入れました。
恋心は生まれ持っており、初めから備わっているものだとも思いましたが、誰も皆、かつては恋を何も知らない赤子であったとのだからと思いなおし、花瓶を手に入れるという一手間かかる動作を入れてみました。
なかなか気に入っている表現です。

・「花に手をのばす」について
花に手をのばす=花を手に入れるための行動
と考え、告白の比喩にしてみました。
告白の緊張、焦燥などが告白の難易度を高めていきます。
いくつかの恋で登場しますが、「花にふれる」というのは告白を実行したという表現で、「触れる前に手を引いた」というのは告白を実行できなかったという表現です。
高嶺の花ってやつですね(?)

・「駅の外に登場する花畑」について
花畑の色は直前に登場する駅の花の色と同じになっており、日常一般の風景に似た人間を探す、主人公の未練を表現しています。

・「花粉」について
花粉は受粉をするためのもので、花粉が出てきた花が登場するということは、恋愛が出来るように精神が成熟し始めたという所で、思春期をイメージして登場させました。
それと対応するように主人公の女の子も、告白前に髪を整えるなど年頃の女性らしさを出しています。

・「水」について
今作での水は特別重要な意味を持っています。
花が咲き続けるためには水は不可欠ですし、花瓶の中の花は決して自分で水を生み出すことはできません。注がれるのを待つだけです。
それこそが与えられる好意であり、恋慕う気持ちであったり、そういう愛情の表現として登場させています。
四度目の恋の時の花が枯れていったのは、花瓶に溜まったままであった涙が原因で、前回の恋をひきずっているという部分が恋人との関係に溝を生み、結局の枯れてしまったという構図になっています。ですので、四度目の恋の最後には中に溜まった水を捨てていたのです。
ちなみに未練が残っているということなので、四度目の恋の冒頭ト書きには黄色い花畑がまだ流れています。

・「花がしおれる」について
花は握りすぎては弱っていってしまいます。しかし、女の子はそれを知らなかった。恋愛初心者だったわけですね。主人公の愛はその時の恋人にとっては重かったようです。
現実の恋愛でも、度が過ぎた干渉は恋愛の進行を難しくします。作中では適切な距離感を、花瓶に入れたまま香りや見た目を楽しむ程度と表現しています。花ってそんなもんですよね。きっと、多分。多分・・・・・・

・「花の匂い」について
花は見た目もよいですが、その姿を見てくれない人に向かってアピールをするには匂いしかありません。ですので、匂いが届く=アピールが成功=花(男性)側からの告白として登場させています。しかし、先ほども触れた通り、花瓶の底に溜まっていた未練を表す涙によって枯れてしまいます。
この時、完全には花が枯れてはいない状況でゴミ箱に捨てているので、主人公が別れ話を切り出したという設定があります。

・「建物の外の駅」
四度目の恋からかなり時間が経っているという設定です。
これまでは学生であり、自然と異性との交流がありましたが、就職をして仕事が一番優先するものになったという設定で書いています。
外で止まったという表現は、自分からのアクションを起こしたということ。現実に置き換えるとマッチングアプリをやるとか、合コンに行くとか、結婚相談所に行くとか、友達に紹介してもらうとか、その辺りの行動になります。
恋愛と結婚で明確に区別しようとは思いませんが、恋に落ちるというより、いい人を見つけるという方がニュアンスが近い気がします。
それは自発的な行動であり、これまでの自動で入る駅とは全く違う性質の行動だと思い区別して表現しました。

・「ブラインドを下ろす」について
ブラインドを下ろすということは外の風景を見る必要が少なくなったということ。つまり、結婚を表しています。例えばの話にはなりますが、離婚をした後はもう一度ブラインドを上げるという行動をするのだと思います。

・おまけ「はなの気持ち」について
本当におまけ程度に詩風に文章を書きなぐりました。
女性に惚れられた花の気持ちです。
自分を自分たらしめているものって何だろうという考えと、嫉妬心と恐怖心がテーマです。
語り口の人格を、花と人間の中間にしようと思って書いていた記憶があります。
自分は人間であるけれど、この子にとっては花なんだ。という方面から気持ちを表現しようとした気がします。
なにぶん、少し昔に書いた作品なのでうっすら覚えている程度です。
曖昧な表現が多くなってしまいすいません。

今回はこんな所で打ち止めにしようと思います。
自分が考えていたことの大部分は話せたと思います。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
今後とも脚本、小説、などなど様々な文章で活動していこうと思います。
また覗きにきていただけると幸いです。
それでは今日はこの辺で。
おやすみなさい。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?