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ちょっとホラーな御話🙈🙊

 皆さんこんばんは。 部屋の模様替えで身体がバキバキの紗桜です。

 これまで気になっていても、目を背けていた窓のサッシもキレイに掃除をしました。

 そしてなぜだか掃除をしながらちょっとホラーな話を思い出したので、今日のnoteの題材にしてみました。

 今回のちょっとしたホラーは2つ。

 どれも実際に私が経験したものです。

 一つ目は私が小学校三年生頃の話。
 二つ目はちょうど一昨日の話。

✰音✰

 丑三つ刻という言葉も知らない頃のこと。

 この日も仕事で忙しい両親に、就寝の挨拶をするため、仕事場へ顔を出し、自分の部屋へ向かった。

 急な段差の階段は、両側が砂壁塗装のため、触れるとボロボロと粉が落ちるので、母親からは触らずに階段をあがるようにと、口煩く言われていた。

 しかし同じ年頃の子供から見ても、あきらかに身長の低い私にとって、家の急な階段は、支えもなく上がれるほど容易くはなかった。

 どうやって上るかといえば、一段上がるのに次の一段に両手を置いて、という具合で、まさに“登る”感じだ。

 まさか家の中で登山とは…毎回骨が折れる。
しかし一階部分が職場とリビングやら風呂やら何やらあるので、個人の部屋が二階になるのは仕方のないことだが、この階段。 息も、上がる…。

 息を切らせて登りつめた階段からへ延びる板張りの廊下を二、三歩進めば両側に襖があり、私の部屋は側の襖の方だった。

 裸電球がオレンジの灯りを灯す廊下の突き当りには、母親が置くに困って無理やり置いてある三面鏡があり、昼間は私もよく遊んでいたが、夜の薄暗いオレンジの廊下奥にある三面鏡の存在は…少々気味が悪いと感じていた。

 気味が悪いといえば、家の外、自動車が一台通れるほどの道を挟んで斜めに墓がある。

 そこは戦没者の方々が大半を占める墓だった。

 墓石のてっぺんは山型で、大きな星のレリーフがある。そこから下に、墓の住人の名前が書かれているわけだが、子供には読めないし、興味もないので大人にも聞かないから、それが戦没者の墓だというのも、高学年になってから知ることになる。

 このような場所に家を建てたものだから、同級生たちからは、怖くないのかと聞かれることもある。 だが生まれた時からあるものだから、私にとっては最早当たり前の景色。 怖いもなにも、あるのだからしかたないし、墓前の花が枯れたところを見たことがないほど、故人の血筋の人達が訪れていることだから、怖いというのも悪い気がしていた。

 この日も少々不気味な三面鏡を後目に襖を開けて、畳敷きの上に設えられた、子供用というには大きなベッドに潜り込み、廊下側を頭にして眠りについた。

 外は夜。街灯の灯りも心ばかりの灯火を路面に落とすだけの暗闇が広がり、先祖達の墓も、暗闇に眠る時刻。

 夏のこと、墓の前の田んぼでは、牛蛙が、低音の響くカエルらしからぬ声で鳴いていた…。

 トントン…トントン…

 ぐっすり眠っている合間の眠りの浅くなる頃、襖をノックする音がする。 返事をするのも面倒だったので、どうせ両親のどちらかが、寝たかどうか探りに来たのだろうと、狸寝入りを続けた。

 トントン…ドンドン…コンコン…

 ノックのレパートリーか増えた。 仕方がないので起き上がって襖を開けたが…誰もいない。

 悪戯好きな父親の悪ふざけか? と思い、文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、あの階段を、寝ぼけ眼で勢いに任せて上り下りは…したくない。 と腹はたったが、また布団へ戻った。

 するとまた…音がする。

 今度は寝ている横からゴンゴンと…

 

 そこにあるのは押入れだった。 この押し入れは階段の壁と接していて、ちょうど部屋の床半分上にだけ存在する。

 そこから音?

 まさか…母親にあれほど言われているにもかかわらず、子供一人おどかすために階段の壁を叩いているのか? と、なかば呆れて、無視して左に寝返りをうって寝た。

 すると今度は天井から…

 ドンッ!…ドンドン…ゴン!

 さすがにこれには飛び起きた。

 しかし私が起きると音はなくなる。 そこで布団の上に座り、豆球の灯りの下、一人考える。 時計は見なかったが、家の静まり方から、既に両親は眠っているはずの時間。 そんな時間に襖を叩きに来て、階段を下りる音もさせずに階下へ降りることは…できない。 ましてや階段横の壁を叩くなど、母親の怒鳴り声が聞こえるはずなのに、聞こえなかった。 ということは……何の音だ? 

 まさか…

 嫌な考えが頭を過る。

 まさか自分の身に起こることだろうか?

 まさか……。

 考えることに疲れ、私はまた布団に潜った。

 途端に……

 四方八方から殴りつけるような音が響き渡り、その音はドンドン音量が上がっていく。

 さすがに怯えをとおりこして、耳障りな音に耳を塞いだ。 だが、手で耳を塞いだぐらいでは、入ってくる音を断ち切れず、大音量の轟音は続く。

 それでも両親は二人共上がってこない。

 これはまずい……嫌な予感が当たってる。

 正直怖い気持ちはあったが、どうしょうもない状況に、突如、同級生の寺の住職の子がしてくれた話を思い出した。

 その話とは、
 
 「もし何かあったら、相手にはせず、自分は何もできないのでほかを当たってくださいと言い続けるといい」
 
 という話だった。

 何故そんな話になったかというと、私の家の建つ場所の近くに戦没者の墓があるという話しをしたときだった。

 私はこの窮地にあって、同級生の忠告を思い出したことに光明を得た気分になり、その子に感謝し、一晩中、私には何もできません! 他をあたってください! と心の中で叫ぶように念じ続けた。

 だがいっこうに鳴り止まない音の連打に、布団から出ることもできず、嫌な汗はかくし、息も詰まるし……それでも最後は サッサと、出ていってくれ! と、怒鳴るように心の内で酒日続けた。


 朝。

 寝たのか気を失ったのか…わからない。
 いつものようにとはいかない、なんとか布団から這い出るように身体を起こし、襖を開けて階段を下りていく。 台所では朝ごはんが用意されていて、両親は店に出ていた。

 あまり店に顔を出してはいけないと言われていたが、確認したくてたまらず、店への内扉を開けると、両親がいつもと同じように仕事をしていた……。

 昼ごはん時。

 台所で夜の話しをしてみたところ、二人揃って顔を見合わせ首を振る始末…。

 静かな昼ごはん時となった。

 私の食事の場所は、テーブルの

 ちょうど台所の窓から立ち並ぶ墓がしっかりと見える位置だった。

                終

 長くなってしまいましたので、二つ目のちょっとホラーな話は、明日書けたら書いてみます。

🙊🙉🙈いつもスキ、コメント、フォローありがとうございます✨閲覧のみの方も大変感謝感謝しております✨何故か今回スマホの記事編集画面が小さくなったり左横に|←こんな棒線が出ていたりで画面調整が上手くいかなくて…変な感じです。調整できるのかな? 明日二つ目のお話書けたらいいなと思っております🖋️🙈🙊🙊

 



#創作大賞2023


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