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第13話 体育館の一夜

13  体育館の一夜

体育館に戻ると
肝試しにチャレンジしたクラスメイトたちが
楽しそうに歓談していた

「オバケたち!楽しかったよ!」

口々に讃えてくれた

一緒に本物のオバケを見た2人は
「怖かったよね…あれ、本物かな?」
「何もしなかったから、いいオバケだよ」
「てか、今まで見たことなんて無かったのに」
「私も!明子が居たからじゃない??」
と、私に火の粉が飛んできた

「私だって、あんなにハッキリ、しかも動くのを見たことなんてないよ!」

そう
私は、よく「見て」いた
でもそれは大抵、黒っぽい(色はいくつかある)影のような人のようなもので、時に顔も何となく分かる程度
ただ、何故か性別と年齢が頭に浮かぶ?
のが不思議な感じ

現在もそのまま…良くも悪くもなっていない

肝試しの話題が過ぎると
それぞれ持ってきたゲームで遊び始めた
トランプやUNO、花札など
この時代には
やっとファミコンが出たくらいで
ファミコンを使うには
テレビがある教室に戻らねばならなかった

ファミコンをこっそり学校に
持ってきていた偉そうな男の子も
さすがにその日は
教室には行かなかった

私は友達と少し横になった
体育館はいつもよりとても広く感じた
そして何より
背中が冷たく痛かった
それでもこの何とも言えない満足感
最高の日である

今日のバーベキューの後
友達がホーテにお菓子買いに行こう!と
言うのでついて行った

ある花札をしていた男子は
1分刈りぐらいの髪の毛だったのだが
イタズラ好きな男子が
ライターに火をつけたまま近寄り
その花札の男子の髪の毛に火をつけた

想像通り
あっという間に焦げ臭くなって
みんな騒然となった

花札をしていた男子は
もちろんビックリ慌てふためき
頭の後ろをさすった
見事に少しだけチリヂリになっていた

もちろんイタズラ好きの男子は
女子の攻撃に遭い
少し大人しく端っこに避けた

髪の毛ってあんな風に
なってしまうんだ…
それにこの匂いは
あまり好きじゃない…
などとぼんやり思いながらも
ふと思った

その間
先生はどこにいたんだろう…
私の記憶にはない

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