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【短編ホラー小説】呪われた館

町の外れに広がる古びた洋館。人々はその建物を「呪われた屋敷」と呼び、夜になるとその周りを避けるようにしていた。ある日、冒険心旺盛な若者たちが集まり、その洋館に一晩泊まることを決意した。

主宰者はジョン。彼は冷静で冒険心旺盛な性格で、友達たちを誘い、洋館の扉を開けることになった。友達たちは賛成しながらも、心の奥底で不安を感じていた。だが、若者たちの探機心は勝り、洋館への一晩の冒険が始まった。

洋館の扉がガチャリと開くと、薄暗い廊下が広がっていた。古びた階段を上り、部屋を見つけると、部屋の中にはひときわ大きな鏡があった。鏡は夜の闇に映え、友達たちはその美しさに息をのんだ。

「これはすごいな!写真を撮らなきゃ!」と友達の一人が興奮気味に言うと、ジョンは微笑みながら賛成した。彼らは鏡の前で集合写真を撮り、楽しみながら夜を過ごすことに決めた。

しかし、夜が更けるにつれて、洋館の雰囲気はどこか異常なものに変わっていった。足音が廊下を行き交い、時折聞こえるはずのないささやきが友達たちの耳に入る。ジョンは冷静な態度を装いながらも、内心では不安が募っていた。

深夜、友達たちは洋館内を散策することに決めた。すると、一室の扉が不気味に開いていた。中には薄暗い照明が灯り、中庭を見下ろす窓からは月明かりが差し込んでいた。友達たちは興奮気味に部屋を観察し始めた。

その中庭に目をやると、そこには一本の古びた井戸があった。井戸の周りには何かが埋まっているような跡があり、友達たちは不気味な空気を感じながらも、井戸を覗き込むことになった。

すると、井戸の底から不気味な音が聞こえてきた。まるで何かが動いているかのようだった。ジョンは友達たちに立ち去るように告げたが、興奮冷めやまぬ仲間たちは聞く耳を持たなかった。

突然、井戸から手が伸びてきた。それは灰色の手で、骨が透けて見えるほど衰え果てていた。友達たちは絶叫し、逃げ惑うが、井戸からは次々と手が現れ、部屋中に生ける屍のような手が舞い踊り出した。

ジョンは慌てず冷静に、友達たちを引っ張りながら階段を目指す。手は彼らの後を追い、足元から伸びてきては彼らを捕まえようとしていた。友達たちは必死に逃げるが、洋館全体に不気味な笑い声が響き渡り、手は次第に彼らを取り囲んでいった。

ジョンたちは最終的に洋館を脱出することができたが、一度閉ざされた扉を開けるとき、彼らの背後で何かが囁いているような気配がした。そして、鏡の前で撮った写真を見返すと、その中には友達たちと一緒に写り込んだはずのない他者の姿が写っていた。

事件があった後、ジョンたちは一度もその洋館に戻ることはなかった。彼らの中には、あの夜に見た手が夢の中で追いかけてくることに悩まされ、心の奥底で未だに不気味な笑い声が響いているのを感じる者もいた。呪われた洋館は、その闇の中で新たな冒険者たちを待ち受けているかもしれな

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