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昭和のセクハラ

現代、セクハラ、パワハラなどいろいろなハラスメントが問題になっている。
これらの言葉を聞いて、ある出来事を思い出した。
まだ、このようなハラスメントが話題になっていない時代だ。

私は夜間大学に通いながら、始めの3ヶ月は高校の事務をしていた。これはアルバイトだったので、学費を稼ぐために、どうしても定職が欲しかったので、途中募集をしている会社を捜した。

◯◯会社はある電器会社の下請けの工場だったが、事務員を募集していた。大学に近かったので、早速応募して、試験と面接を受けて、合格した。

さて、配属されたのは、蛍光灯、ダイオード、ストロボなどを検査する、製品検査課だった。

40代位の主婦の方の代わりだった。引き継ぎを終えて、4ヶ月の研修を終えて、やっと正社員になれた喜びは大きかった。実は研修は3ヶ月なのだが、課長の言うことを聞かなかった為に一ヶ月延ばされた。(悪い子でした)

私の仕事は、製品検査の結果をグラフにしたり、検査の補助をしたり、各工場の課長に印をいただきにいくことだった。そして、お茶汲み、その時代は、女性がお茶汲みをするのは当たり前、何も疑問を抱かなかった。そして、検査の補助も女性ならではという空気があった。

ところが、そんな中、ストロボ検査をしていた人が、手伝ってほしいということで、暗室に入った。ストロボ検査は暗室でするのだ。検査の記録は補助の役目だ。

そこで、ことはおこった。

ペンで記録をとっている私の手の上に、いきなり彼は手を重ねてきた。ハッとして顔を見ると、(暗くてはっきり見えないが) いや、冗談だ。などと言う。私は20代そこそこ、彼は30半ば位だろうか。大先輩なので、新入社員の私は何も言えなかった。まして、冗談と言われると…
検査中は緊張し通しだった。

その後、なんだかんだと接触してきた。彼は二枚目だったが、既婚者だ。自分がもてるとでも思っていたのだろうか。
ところがどっこい、私は三枚目が好きなのだ。(いやいや、それどころじゃないでしょ)
上の立場を利用して、あの手この手で迫ってきたが、何とかかわして心の中で、ニャロメ〜と思っていた。

二枚目、三枚目というのも、昭和っぽいね。
ところで余談だが、二枚目とは、歌舞伎(かぶき)の番付で二番目の位置に書かれた、美男役の役者のことだ。そこから、美男子を二枚目というようになったという。

さて、話は戻るが、そういうことは彼だけではなかった。主任と言われる、私から見ると超〜堅物が、会社の飲み会のあと、帰り道が一緒だったので途中で抱きついてきた。
酔ったふりしていたが、酔ってなかったと思う。
思いっきり突き飛ばして、走って帰ってきた。火事場のバカ力とはこういうことだろう。よく無事で帰れたものだ。
明くる日、主任は目も合わせないで、シュンとしていた。(シャレではないですよ)
課内でそんなことしたら、気まずいに決まってるのに、どういう神経してるのだろう。

今は飲み会も少くなったようだが、それが正解だと思う。

なんという会社だ。あんなに入社出来て喜んだというのにプンプン!!

その課は6人が男性で、既婚者4人、独身者2人だった。女性は私一人だった。その上に課長がいた。独身者は、俺は会社の子には手を出さない、とのたまわっていた。
どこに訴えればいいかわからなかった。泣き寝入りするしかなかったのだ。課長は優しそうな人だったが、いつも席をはずしていて、お話する機会もなかった。ただ、あと2人の既婚者はいい人だった。

あの時代は多かれ少なかれ、私のような体験をした人がいるのではないかと思う。
そして、大概は女性にも隙があったのではないか、と言われるのだ。

職場を辞めたくないと思って我慢したが、とうとう我慢しきれなくなって、11ヶ月で辞めてしまった。

辞めるキッカケになったのが傑作だ。
もうひとり、女性の事務員を入れるという。一人で十分な仕事なのに、なぜだろうと思っていると、なんと、人事部長の娘を押し付けられたらしい。そういう噂だったが内情はわからない。それまで我慢していた私は、この馬鹿らしい採用で一気に爆発した。そして辞めるチャンスでもあった。
でも人事部長の娘なら、誰も手を出せないね。ざまーみろって感じ。 コホン 失礼

今は女性が強くなって、訴える人も多くなったが、それでもまだまだ表に出ないこともあるだろうと思いながら、この記事を書いている。


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