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WD#55 TVの危機、SNSの夢

 先日とある友人と学校で昼ごはんを食べていたところ、最近の不満の話になり、そこで相手が「テレビもマジで見てない。ニュースとかならたまにくらいでバラエティーとかは全く。」というような発言をした。その話を聞いた私は、薄々感じていた周囲のテレビ離れをついに目の当たりにした感じがして、かなりショックを受けたのだ。そう、今、TVが危ない。
 私は普通に見ている(ここでの普通、というのにそもそもズレが生じ始めている)のだが、最近あまりにもTVを見ている人が少ない気がする。そこで、今回はTV離れによる問題をいくつか列挙し、その原因や行く先まで、勝手色々考えていきたい。


問題1.あの頃のような会話がない

 学校に行く。そして友人と会話をする。この際に、「昨日のTVみた?あれ面白かったよねー。でもさ、あそこはちょっとなー。もうちょっとああした方がよかったよね。ワハハ!」みたいな会話が出てくることは、無い。昨日のTVで話をすることができるのは、正直小学生までだ。これは目を向けたくない事実だが、もうそろそろ向き合わなければならない。だからこういう場を設けている。
 例え鳥人間コンテストの翌日でも、M-1グランプリの翌日でも、その話が友人との会話で出てくることは、多少あれど少なくなってきている。小4とかならそれだけで一日話すことができるが、こうしてTVから離れていった人の多い高校生にもなると、どうしてもしにくいというか、言っても「あ、それ見てないや」と一蹴されそうな気がしてならないのだ。そうなるとなんか気まずいので、円滑な関係性のためにも、TVの話を避けている自分がいる。


問題2.お笑いの賞レースを見ただけで
   お笑いファンとされる

 これは完全に自分の感じていることなのだが、例えばM-1グランプリが放送された翌日にM-1グランプリの話をすると、見ている人も一定数いるのでそこでは話が弾むが、その話をしている集合全体が「お笑いファン」とみなされているように感じている。そりゃ一年に一回の賞レースだし、見てて面白いから見ているだけなのだが、TVから離れた人々にとって、それを見たというだけでその人は「お笑いファン」という判決が下る。テレビを見ていないと、お笑いという文化に触れることはかなり少なくなる(愚の骨頂の違法転載などのYouTubeに流れているお笑いを除く)ために、TVのお笑い番組を観ただけで「お笑いファン」と勘違いしているのであろう。確かに0から見たら1は大きいだろうが、それは100ではない、という点を認識していただきたいものだ。
 つい先日にも「THE SECOND」という結成16年以上の漫才師No. 1を決める賞レースがあった。もちろん観た。めちゃくちゃ面白かったし、感動さえした。この感動を誰かと共有したかったが、「でも誰も観なかったんだろうな…」と思ったので結局この興奮は家族内でしか共有できていない。TV離れは、こうして人を孤立させるはたらきもある。



問題3.周りが芸能人を知らなすぎる

 YouTube、Twitterを始めとしたSNS(YouTubeがSNSなのかどうかは曖昧だがここではそこに包括したい)とTVの情報の流れ方には結構違いがあり、その中でも特に顕著だと思っているのが“自分に合った形にできるか”というフレキシブルさの有無である。そしてSNSにはこのフレキシブルさがあるが故に、自分の興味のある内容しか流れてこなくなる、というバイアスがかかっているのだ。
 そのため、TVなどに出てくる芸能人は、TVを見てたらそりゃもちろん分かるのだが、ほとんどSNS産の情報だけ摂取しているとそういう多様な人間に触れ合うことがなくなる。その結果、みんなが知ってると思って話題にした人を周りの人が知らなかった、ということも度々発生する。前なんか、松本人志を話題に出したところピンときてない人がいて、もうここまできたか、と愕然した。松本人志を知らないなら、もう他の芸能人を知っているはずもない。詰みである。



問題4.過剰に炎上する

 これは別に今のTVに限ったことではなく、最近のインターネットにも同じことが言えるのだが、「もう黙っとけよ」という炎上が多すぎる。特にTVにおいて。
 「〜(放送局)でこんな報道してた(ニュース番組のスクショ)。もうTVもいよいよ。」みたいな感じで攻めた報道内容を批判するツイートをして2.3万いいねを叩き出し、リプ欄で「その前に〜という報道をしていましたよ」と即刻論破されたにも関わらず投稿は消さずにひたすら炎上でいいねを稼ぐマシンと化す。ガノンに操られた神獣を見ているようだ。
 そのくせ、TVの保守的な報道に関しては「どこもおんなじようなことばっか。これだからTVは無理。」と言ってまたもやTVを批判する。こうした保守的な態度に対する批判はNHKに多い。無理やり金を吸い取られていることへのヘイトもあるのだろう。



問題5.テレビ側もガバガバ

 とはいったものの、TV側にも問題がある。若年層のTV離れが深刻化して、TVの炎上もかなり増えたように感じる。誤った報道内容、過剰な演出、コメンテーターの問題発言、そういうものが最近になって目立つようになってきたのだ。その背景として、信じたくはないが、TVを作っている人たちの意識の低下が考えられる。「どうせ今TV作っても全然観る人いないしな〜」などと嘆きながらTVを作り、そのボロがよりによってみんなに観られて炎上、という悪いサイクルが出来上がってしまった。
 しかし、自分で言っといて申し訳ないがこれは否定したい。霜降り明星のせいや(知ってます?TV観てないと知らない人もいるんだろうな。悲しいよ。私は。)がYouTube上で「今結構テレビ観ない人も多くなったから、今テレビを作っている人は本当にTVが好きな人だと思う。だからTVが好きだ」というような発言をしていて、すごくいいなと思ったからだ。TVにとって厳しいこのご時世でTVを作っている人たちを私は信用したい。



原因の考察

 さて、ここまでいくつかのTVが抱える危機を列挙してきた。問題はこれだけではないのだが、枚挙にいとまがないのでこの辺りにして原因を考えてみよう。
 とはいっても、原因はもうわかってる。2つある。今から書く。見て。
 一つは、単純に時間がなくなってきていることにある。中高生になると部活もあり、課題も増え、学校が終わったからと言ってそこから全てが自由な時間になるというわけではない。さらにこれに加えて塾とかも行ってるだろうし、そう考えるとTVを見る時間なんてもうほとんど残されていない。そのためTVから離れる人が増えているのではないだろうか。また、じゃあなんで私はよくTVを観ているのかというと、小さい画面でSNSと睨み合うよりはTVの方が面白いと思っているからである。
 二つ目は、今も少し書いたが、SNSに吸収されているという点。自分好みの形にできるフレキシブルさがないTVは、かえってかなりフレキシブルなSNSに触れている人からしたら退屈でしかない。1番最初に書いた私と話していた友人も、「みんなおんなじような内容で面白くない」と言っていたが、これは興味のない内容であるからで、自分の興味のないアーティストの曲が全ておんなじような曲に感じるのと似た現象である。そんなメディアをわざわざ観るくらいなら自分好みのバイアスがかかったSNSを見ていた方がいい、ということなのだろう。



今後

 では、今後TVはどうなっていくのだろうか。このまま衰退する運命なのか。ぶっちゃけ私はそうだと思う。ここからTVがSNSを追い抜く転機が訪れるとも正直思えないし、TV離れはどんどん加速し、TVはどんどんニッチなメディアになると思っている。そして、炎上するときにだけ注目される皮肉なターゲットとなることだろう。これは抗えない未来像だ。
 ただ、「嫌だ!TVがなくなるとそれはそれで困る!」という方は、救う気持ちも込めてたまには見てあげてください。それがTV業界への光となるでしょう。



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