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虫の知らせ3本詰め合わせ

虫の知らせに関するうろ覚えの短い話を3本詰め合わせで書く。

1、母の場合

 ある時、飲食店かどこかで店員に対して割と態度が粗暴なおじさんと知り合った。ただ話してみると良い人だったので文通で数年やりとりする仲になった。いつしか疎遠になり2年ほど経ったある時、ふと何故か「あのおじさんどうしてるかな?」と気になり教えてもらった番号に電話すると奥さんが出た。母は自分の素性を明かし電話を代わってもらえないか聞くと、
「実は…」とその女性は口ごもった。丁度おじさんの葬式が終わり「今から出棺するぞ」というタイミングだったそうだ。

2、倫理の先生の場合

 2人暮らしの奥さんと寝ていると突然足を誰かに踏まれた。驚いて起きると昔の知り合いが部屋の隅に立っていた。その男性は笑ってお辞儀すると消えたそうだ。後日、その人の訃報が届いた。

3、祖父母の場合

 祖父母は昔、戸建ての2階部分を1部屋ずつ間貸していたのだが、最盛期には4/5人ほど入居していたそうだ。月日は流れ2階に誰も住まなくなった頃、夜2人で寝ていると突然2階で「ザザァァァ……」という大きな音がして飛び起きた。小豆を撒くような音だったそうだ。

 祖母「誰もいないはずなのに……お父さんちょっと見てきて下さいよ」
 祖父「………………」

結局2人も怖くて朝まで見に行けなかったそうだ。次の日の朝、2階に行くと鍵も閉まっており何も散らかっていなかったが、後日青森出身の元入居者の訃報が届いたそうだ。

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