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会社の無い会社員(前編)



『今何やってるの?』

こんな場面
今の私は一旦ぎくっとする

おそらく求められているのは

“どこでどんな仕事してるの?”
という「肩書き」の返答である

「今」という言葉には
「少し前の過去〜少し先の未来」
までが含まれているようだ

“点”ではなく”線”を問いかけている
そしてその”線”のあとは”面”を聞いてくる

なんということだ

単純でない点で日々構成されている私の線は
一言では言い表せない

“点”か”面”の”肩書き”を持ち合わせていないと
答えずらいではないか

いやそもそも一般的には
そう難しくない質問なのだ
肩書きさえ持っていればそれで良い
その肩書きの中で何をやっていようと
相手は大概興味を抱かない

じゃあなぜぎくっとするのか
何を隠そう”今の私”は
肩書きコンプレックスを持っているのだ

勉強が出来ようが出来まいが
大学生

会社でどんな仕事をしてようがしてまいが
会社員

肩書きはあくまでも属性である
その属性の中でどんな生態を営んでいるか
なんて
前述した通り
相手にとっては大した問題ではない

みんなそんな大きな括りの中で生きている
そしてそれが”まともで信頼できる人間”
という安心感を与える

私は大学院を卒業した2020年
それを失った

誰かの作った
小さくて大きな括りの中で生きていくことは
もうしたくなかった

ううん、できなかった
サラリーマンが無理であることを
設計事務所時代に痛感した

やりたいことをやると決めたら
失うものや諦めるものがたくさん出てきた

それでもやりたかったから
後悔はしていない
道を戻るつもりもない

選んだ道に
根拠のない自信と誇りさえ持っている
なんの肩書きもないのに

厄介だなと
自分でもわかっている

でもそんな私にも
この問いはしっかり刺さる

肩書きを持っていることの安心感を
知っているからだ

ちなみに私は
肩書きアンチではない
(信者でもない)

肩書きの裏には
その人の努力がある
使った時間がある
それも知っているから

でも大人になった私は
肩書きを持っていないと生きずらい世界線も
知った

私は近い将来
自分の望む肩書きを手に入れる
(言い切れるところが厄介者感)

だからこそ
肩書きコンプレックスを抱える
”今の私”だからできることを
やりたい

それがこの物書きのモチベーション
そして私に今すぐできる事は妄想
さわれない世界を想像してみることだ

肩書きのない世界でどう生きるか

“今の私”
そして
“肩書きがない人” “肩書きに誇りがない人”

この人たちを救いたい
いやおこがましい
まずは寄り添うことから始めようと思う

当たり前をなんてこったに変えるのは
そう簡単なことじゃないと言えば簡単なくらい
難しいことなのだから

後編につづく

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