スティーヴ・パクストンから学んだこと

2月21日に、スティーブ・パクストンが亡くなっちゃったんだよ。
僕は、2009年、東京芸術大学の当時は横浜港にあったスタジオで、スティーブのワークショップに参加したことがあるんだ。
そのワークは、めっちゃ静かで、自然な感じで動きの思想を教えてくれたんだ。

ティーブは合気道を独自の解釈で、すごい深い哲学を持ってたんだって。動きってのが言葉じゃなくて、みんなで相互に作り上げるものって感じだった。
誰かに意識を向ける時に自分の体の中で何が起こるか、ってのを考えさせられるようなことを教えてくれたんだ。
例えば握手をするときに、体の中で何が起こってるかってね。右手が動き出してから指先が相手の手をつかんで、小指の方からゆっくりと閉める。普段何んげなくやっている動作でも、握手に関する一連の動いの流れが乱れただけで、相手に不安を与えるんだよ。考えさせられることばっかりだったな。

外にもワークショップのディスカッションの中で、
「相手を受け入れることから始めるといった日本武術に精通する思想をどのように知ったのでそゆか?」
という質問に対して、パクストンは逆に
「愛は体の何処にあるのか?」と問い返したんだよ。
その時、会場は一瞬息を飲んだけど、ディスカッションはゆっくりと続き、スティーブはマイク・タイソンの人生を描いた映画「Tyson」が話題になったんだ。
パウンド・フォー・パウンド最強のボクサーとして歴史に名を残すタイソンの強さの理由が、映画の中で幼児時代の他者への恐怖心として描かれており、他人を恐れる心が相手を傷つけるという問題が浮かび上がった。

質問の答えは性格に言及されなかったけど、合気道の一連の動きの中から意味を導き出し、コミュニケーションの根本的な問題点として提示され、現在も取り組んでいる姿は、僕たちはただ圧倒されたよ。

僕らにとって、「他者を恐れる恐怖」と「愛」という言葉は、今回のワークの中でのテーマで、おおきな課題として捉えたよ。
ここまで課題意識を持って芸術に取り組んでいるアーティストがいることに驚きだった!

50-70年代のアメリカを中心とした前衛芸術運動は、日本国内にも影響を与えたけど、その後半に位置するジャドソン教会派はこれ以降少しずつ紹介される機会があって、だいぶ認知度も上がったね。

以下は、少し本とか動画とか紹介するよ。

コンタクト・インプロビゼーション

コンタクト・インプロビゼーションは、1972 年以来国際的に発展してきた即興ダンスの形式です。これには、接触を中心に体重、感触、動きの認識を共有するという基本を使用し、運動によるコミュニケーションを目的としてます。スティーブパクトンを中心としたダンサー達で発案しました。コンタクトインプロビゼーションはプロのダンサー達にもテクニックとして影響も与えましたが、「ジャム」と呼ばれるコミュニケーションを目的としたレクリエーションでは、初心者も参加できます。研究者のノヴェックはダンスともスポーツともいえる新しい形式をダンススポーツとよんでいます。

ソロ作品、コンタクトインプロビゼーションは卒業

先にまとめられた動画でも紹介されているように、テクニック的には習熟を迎え、パクストンはより緻密な自分の身体内で出来事を観察することにフォーマスします。以下のソロ作品はバッハのゴールドベルクに即興で踊られたものですが、リズムと細部や体の部位のバラバラに操作する思考の過程がうかがえます。

Material fo Tthe Spine 背骨のためのマテリアル

"Material fo Tthe Spine 背骨のためのマテリアル"はベルギーの出版社から出版された同名のDVD-Romがあり、パクストンの晩年の思想をインタラクティブなデジタルメディアで学習できるDVD-Romです。私がたびたび引き合いに出す"プロジェクション"という概念の思想が求まっています。現在はフリーでブラウザーで見ることができます。以下がリンク

おわりに

YouTubeにはたくさんのインタビューがあるから、興味がある人はそちらをチェックしてみてね。
僕は彼から学べることは人生の宝だよ。一緒にいられた時間は時間は少ししかなかったけどね。

写真は2010年にバーモントの家に行った時のもので、スティーブが歩いた足跡を追いかけるように踏み進みます。


このノートはブログの内容を口語体に書き直したものです。

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