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リコーダーアンサンブルの基礎(初心者🔰向け) –––– 義務教育のリコーダー、楽譜の読み方など

こんにちは、アンサンブル楽譜売りの𝑅𝑖𝑐𝑘です。
最近編曲作業はあまり捗っておらず、少しブログでも書こうかなという気分になったので投稿します。

議題はと言いますと、リコーダーアンサンブルの基礎ですね。
「100曲以上も編曲しておいて何を今更基礎なんだ」と言われてもおかしくないと思いますが、それを承知の上で書きます。

①リコーダーとは –––– 単なる義務教育のための楽器ではない

まずはじめに、リコーダーとはそもそもどういうものかについてです。
リコーダーは、木管楽器の一種であり、リードを使わないエアリード式の縦笛です。
一般的にイメージされるリコーダーと言えば、プラスチックでできた教育用楽器のイメージだと思いますので、「木でできてないのに木管楽器なの?」と思う方もいらっしゃると思いますが、元々は木で作られていたため木管楽器です。
エアリードの木管楽器に絞ると、木管楽器だとイメージされにくいものにはフルートが挙げられます。「フルートも金属製じゃないか」と思われる方も多いと思いますが、フルートには木製も存在します。とても高価なものですけどね。
リードのある木管楽器も含めると、木管楽器だとイメージされにくいものにはサクソフォンが挙げられます。僕の知る限りではサクソフォンには木製は存在しないはずです。結構新しめの楽器ですからね。

話を元に戻すと…
サクソフォンは新しめの楽器ですが、リコーダーはとても古くからある楽器なのです。その歴史はなんとルネサンス期の14世紀にまで遡ります…!
ルネサンス期ではSATBの4重奏編成が特に好まれて多く作曲され、その後のバロック期にはAA、AABなどの編成のアルトリコーダー主体の編成が好まれて作曲されました。
しかし、リコーダーは音量が小さいこと、音の強弱がそのまま音高に影響し、補正に高度の技能が必要なこと、発音が容易であることの裏返しとして音色の表情を付けにくいことなどから、バロック期後半の18世紀頃からは次第に表現力に優れたトラヴェルソ(後のフルートの原型)に主流の座を奪われ、古典派音楽に至っては全く顧みられなくなりました。
こうしてリコーダーはいったん忘れ去られましたが、20世紀初頭になって古楽復興運動の中でリコーダーが復元され、過去の奏法が研究されました。吹奏楽や古典派以降のオーケストラで使用されることはほとんどないですが、古楽では欠かせない楽器であるだけでなく、現代音楽での使用も多いです。
現代音楽での使用が多くなった背景には、プラスチック製の安価なリコーダーの普及や、義務教育で取り扱っていることが挙げられるでしょう。義務教育については日本においてのみの話ですが…。海外の義務教育で扱っているかは不明です。

ちなみに、日本の多くの小学校の義務教育で採用されている、「ソプラノリコーダーのジャーマン式」は、教育用楽器として開発されたものです。ただし、中学校(早いところは小学校5年生から)習うアルトリコーダーにはジャーマン式が存在せずバロック式になるため、近年はソプラノリコーダーもバロック式を採用する地域も少ないながらも増えてきています。

②ジャーマン式・バロック式 –––– C管F管の違いとリコーダーの種類

ところでジャーマン式・バロック式の違いは何かという話ですが、その前にリコーダーには主にC管F管の区別があるということを明記しておきましょう。C管とは、最低音から長調で音階を辿っていくとC dur(ハ長調)になるものです。つまり、ソプラノリコーダーのことですね。
F管は最低音から長調で音階を辿っていくとF dur(ヘ長調)になるものです。つまり、アルトリコーダーのことですね。
リコーダーには主にソプラノ・アルトだけではなく、音の高いものから順に、クライネソプラニーノ(ガークライン)[Ksn(Gk)]→ソプラニーノ[Sn]→{ソプラノ[S]→アルト[A]}→テナー[T]→バス[B]→グレートバス(大バス)[Gb]→コントラバス(箱バス)[Cb]の計8種類ものリコーダーがあります。余談ですが、コントラバスは弦楽器にもありますが、あの名称は「とても低い音」という意味から来ています。
この8種類をC管F管に分類するとこうなります;
C管→Ksn(Gk), S, T, Gb
F管→Sn, A, B, Cb
CFCF…と交互になっているのがわかりますでしょうか?
C管はほぼほぼ運指が同じで、楽器が大きくなるにつれ1オクターブずつ下がります。また、F管も同じようにほぼほぼ運指が同じで、楽器が大きくなるにつれ1オクターブずつ下がります。
ソプラノリコーダーとアルトリコーダーで運指が違う理由は理解して頂けましたでしょうか?

さて、ジャーマン式とバロック式の話に戻しますが、義務教育で「アルトリコーダーに変わった時に出る音が違うぞ」とバロック式のソプラノリコーダーを使っていた皆様でも思ったことでしょう。もちろん、ジャーマン式のソプラノリコーダーを使っていた人にとっては音階のたどり方すら違うぞ、と思ったことでしょう。
人によってはそれどころじゃなく「手が小さいから右手小指届かないよ〜」だったかもしれませんね(笑)
当時身長130cmだった僕は手が小さく、右手小指がギリギリ届くか届かないかだった記憶があります。
そんな右手小指の話はさておき、ジャーマン式とバロック式の違いは、4・5番ホールの穴の大きさが逆であることです。そんな単純な違いなのかい、という話ではあるのですが、ジャーマン式は1番ホールから数が大きくなるごとに穴が小さくなっていきます。なので4番ホールの方が5番ホールより大きいです。バロック式は4番ホールの方が5番ホールより小さく、他はジャーマン式と同じです。穴の大きさが違うからこそ、共鳴管の長さが変わるために運指が変わってくる、ということです。

③リコーダーアンサンブル –––– 楽譜の譜記法と読み方

小中学校の義務教育で出てくるリコーダーの楽譜は、ソプラノリコーダーもアルトリコーダーもト音記号で1オクターブ下で書かれています。つまり、暗黙の了解だけど実際に出る音は1オクターブ上ですよ、ということですね。ピッコロと同じ感覚です。

しかし、リコーダーアンサンブルの楽譜においては、ト音記号の上に8や15という数字がついてたりついてなかったり、ヘ音記号の上に8という数字がついていたり付いていなかったりします。
これは楽器により固定されており、義務教育で出てくる楽譜のように暗黙の了解だけど数字がついていないこともあります(古代の楽譜や、素人作成の楽譜によく見られます)。

基本的には以下のようなルールになっています;
ト音記号の上に15(2オクターブ上げる):Ksn(Gk)
ト音記号の上に8(1オクターブ上げる):Sn, S
ト音記号の上に数字なし(そのまま吹く):A, T
ヘ音記号の上に8(1オクターブ上げる):B, Gb
ヘ音記号の上に数字なし(そのまま吹く):Cb

④ピッチ –––– A=442、リコーダーの構造と調律の仕方

ピアノを習っていたことのある方は、A=440の方が馴染み深いかもしれません。
オーケストラ・吹奏楽をやっていた方には馴染み深い「A=442」ですね。
リコーダーアンサンブルも基本的にはA=442に合わせます。
バロック音楽のF管2重奏や3重奏においてはA=415に合わせたリコーダーを使うこともありますが、そんなことはさておき初心者向けに解説します。

A=440, A=442, A=415はいずれも基準となる「A3(ラ)」の音の周波数[単位:Hz(ヘルツ)]を表します。この音を基準にしますよ、という意味です。
チューナーのAの周波数をいくつに設定しますか、ということです。チューナーはスマートフォンのアプリでもありますので、これから始められる方におかれましてはチューナーは機械として持っていなくてもスマートフォンで代用してしまって良いと思います。

リコーダーにおける調律の仕方を説明します。
Ksn(Gk)以外のリコーダーは、基本的に頭部管(吹き口のあるところ)・中部管・足部管の3つに分かれる構成になっています。
一部のSnは中部管と足部管が一体型であり、B, Gb, Cbにおいては頭部管が複数に分かれるものも存在しますが、そんなことはリコーダーの調律には関係ありません。

リコーダーは、頭部管と中部管を差し込めるところまで差し込んだ状態で普通の息量でA=442になるように作られていますが、普通の息量ってなんぞや。って話ですよね。そこで、012番穴を抑えて、チューナーをA=442に設定して音が合ってるかを確認してみます。
限界まで差し込んだ状態で低いようでしたら、それは肺活量が足りないという問題で、リコーダーの問題ではありませんので肺活量を増やすトレーニングをしなくてはなりません。
ぴったりだとしたら、その息量を維持したまま吹き続けます。
高いようでしたら、頭部管と中部管のジョイント部を少しずつ抜いて調節をするか、息を弱めます。

⑤最後に

ここまでいかがでしたでしょうか?
少しでもリコーダーアンサンブルに興味を持っていただけたら幸いです。

メンバーシップ限定の楽譜(パーカスやピアノ伴奏付きなど)や、メンバーシップ限定の生演奏録音、主に都内たまに神奈川県内でのメンバーシップのオフ会(不定期開催)などもありますので、メンバーシップにも是非ご参加下さいね。

楽器持ってない、運指忘れちゃった、楽譜読めない、パーカス部門で参加したい、ピアノ伴奏部門で参加したい、見学のみなどなど何でもありです(ただし、小さなお子様で、楽器演奏の妨げとなるような静かに出来ないお子様の同伴はご遠慮下さい)。
ただし、会場と人数の関係から、リコーダー部門以外での参加の方はその時に必ずしもそのパートが用意できるとは限りませんことだけはご了承ください。

「今楽器持ってない(or古すぎて使い物にならない)けどリコーダー部門で継続して参加したい」という方には、楽器を買って持って来て頂くのではなく、一度楽器なしでお越し頂いて、ブランド・プラor木の素材・手の大きさ・指の長さ・息量・予算などから総合的に合っているものをご紹介致しますので、そちらを後から購入するという形をお勧め致します。

宜しければサポートをして下さい!頂いたサポートは今後様々な編曲をしていくための勉強費として使わせて頂きます!今後とも宜しくお願いします!