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「プレイエラーをする。その後、ジャッジを呼ぶ。」実施レポート(2023年)

2023年11月から,「プレイエラーをする。その後、ジャッジを呼ぶ。」という,ポケモンカードの公認ジャッジのためのイベントの開催を始めました.

2023/11/01(水),11/29(水), 12/12(火)と,2023年中に3回開催することができました.
手前味噌ではありますが,なかなか良いイベントであると感じております.
「とても有意義だったのでまた参加したい」と複数回参加してくださる方もでてきています.
世の中に発信することに価値があると感じたので開催レポートを公開することとしました.


主催自己紹介

りっく36!というなまえで活動しています.ぼくです.
@RICK36i

  • 2016年10月(ポケモンカードゲーム 20th アニバーサリーフェスタ 新潟会場 & 愛知会場)より大型大会ジャッジとして活動
    ※ただし当時はボランティアジャッジはメイン競技イベントではなく基本的にサイドイベントのジャッジを担当.メイン競技イベントのジャッジは2017年より.

  • 大型大会の際は赤腕章をつけて稼働

  • シティリーグやその他競技性の高い大会等のジャッジとしても活躍中

X(旧Twitter)ではあまり発信しておりませんが,ポケモンカードのジャッジとして主に大型大会とシティリーグで稼働をしています.
自分はジャッジ制度発足の初期の初期からジャッジ稼働を続けているため,チャンピオンズリーグやシティリーグといった大会自体の発展とともに自身のジャッジ稼働経験も積み重ね,他のジャッジとの議論もたびたび実施してきました.
今ではポケモンカードの競技プレイヤーだけでなく公認ジャッジの人数も増え,大型大会やシティリーグでのジャッジ稼働を希望しても稼働できないことも多いと聞きます.
ジャッジ稼働経験を積み重ねていく機会や他のジャッジとじっくり議論するチャンスがなかなか取れない状況であるにも関わらず,主催やプレイヤーからは「ジャッジ対応の質」が求められている状況となっていると感じたため,そういったチャンスを作ることができる本イベントの開催を開始しました.

イベントの概要

タイトルのまんまです!
演者スタッフがポケモンカードの対戦をし,何らかのプレイエラーを人為的に起こす.そしてジャッジを呼ぶ.
周りにいるジャッジ(イベントの参加者)が,起きてしまったエラーにジャッジとして対応したり,どのような対応がより良いか?を他の参加者と議論したりするイベントです.
ポケモンカードゲームの「公認ジャッジ」(もしくは「イベントオーガナイザー」資格と「ルールエキスパート」資格の両方)を持っている方を対象としています.

イベントの目的,目指しているゴール

目的

  1. 参加者が,比較的よく起きるプレイエラーに対するジャッジ対応の実経験を積む.基本的なジャッジ対応の方法や思考を身につけた上でいろいろな事例に対して応用できるようになる.

  2. プレイエラーに対するジャッジ対応の方法,方針,考え方などについて他の参加者および演者スタッフと意見交換をする.

※ここで言う「ジャッジ対応」とは,プレイエラーに対する裁定の内容の他,裁定を検討するための情報を引き出すヒアリング方法や,選手への伝え方など,裁定部分以外の選手とのコミュニケーションも含めたものを指しています.

ゴール

  1. 各ジャッジが,プレイエラーに対して迅速に安定して対応できるようになる.その大会のプレイヤーや主催に「いてくれてよかった」と思われるジャッジになる.

  2. 各ジャッジが,裁定に関する考え方についてのブレない芯や軸を明確に自分の中に持った上で,他のジャッジと議論することができるようになる.

重要な注意点

ここに書くことは,毎回開会式のときに精一杯の気持ちを込めて参加者の皆さんにもお話しています.これを理解していただかないと事故る可能性が高いです.良かれと思って開催したイベントが毒となるのは悲しい・・・
もしこのイベントを自身でも開催してみよう!という方がいれば,是非イベント参加者さんに一生懸命伝えてください.

  • 我々ポケモンカードゲーム公認ジャッジが裁定(修復+ペナルティ)を出すための拠り所とできるものはフロアルール」「ペナルティ クイックチャート,それと対象の大会ごとに公式よりアナウンスされることがあればその内容(例えばシティリーグではこの情報など)のみです!

  • 「プレイエラーをする。その後、ジャッジを呼ぶ。」のイベントはあくまでも個人が開催する非公認・非公式のイベントです.

  • イベントに参加したことにより,何らかの解にたどり着いたとしても,それは唯一解とか絶対的な正解とかではありません.
    ※逆に言うと,公認ジャッジが裁定を出すための拠り所とできる情報に確実に沿っている対応はすべて正解となり得ます.

つまり・・・(ややこしい事例に関しては特に)「このイベントの中で導き出したからこの対応が絶対に正しいはず!」という思考は持たないようにすべきです.
2023年時点でのポケモンカードの日本の競技環境としては,最適である裁定は状況によって変わります.
このイベントは,正解を求めてもらうものではなく,イベントでの経験や議論の過程を自身の栄養にしてもらうためのものであるということを,参加者の方にはつよく心に留めていただくようにすると良いと思います.

演者スタッフ紹介

2023年開催の全3回,演者(人為的にプレイエラーをする選手の役)を担当してくださった4名のスタッフを紹介します.
みなさん自然なプレイエラーがお上手!できるだけ違和感なく狙ったプレイエラーを起こすためにデッキの工夫をしてくださったり,当日の打ち合わせを自主的に実施くださったり,いつも大変助かっております・・・!

※2024年以降は一部のメンバーさんに都合を合わせていただくことが難しくなるため,メンバー変更を予定しています.

ロロたんぬさん

@Lolo_Tannu

ゆめいろさん

@yume0154tcg

まどまぎさん

@nodokawa9

YuUさん

@PcgYuu

イベント運用詳細

実施概要

実施日時:平日夜 20:00~22:00
  ※11/01(水),11/29(水), 12/12(火)に実施しました.
会場  :PLAY FACTORY TOKYO
  ※会員制のGAME BARをイベント期間中は貸し切りにしていただき会場として使っています.当日はお店の会員ではない方も参加が可能です.
定員  :12名
参加資格:ポケモンカードの公認ジャッジであること
参加費 :2,500円(場所代)
持ち物 :周りの意見を聞く余裕,自らの意見を発言する勇気

当日の進行

  1. 開会式(主催あいさつ,会場であるお店の利用ご案内,諸注意など)

  2. 参加者自己紹介
    (1人30秒ほど、HNと名字と今までのジャッジ稼働経験を簡単に)
    ・ハンドルネーム
    ・おなまえ(名字)
    ・活動地域
    ・今までのジャッジ稼働経験 など

  3. 事例の発生対
    戦卓を2つ使って,やさしい事例と,ややこしい事例の2つを同時に発生させます.
    参加者は自分が対応したい側の卓のジャッジコールを受けるか,他の参加者のジャッジ対応を見ながら「自分ならどうする?」と考えて議論します.

  4. 閉会式

  5. 解散(希望者は雑談など、会場へは23:00まで滞在可能)

イベント開催中の様子(写真)

12/12(火)に実施した回では記録用に写真を撮っておりました.
雰囲気がわかりやすいかと思うので掲載します.

会場全体の様子.左が「やさしい事例」の卓,右が「ややこしい事例」の卓
「やさしい事例」の卓.
スマホでペナルティクイックチャートの内容を確認しながら最適な対応方法を探っています.
「ややこしい事例」の卓.演者スタッフも議論に参加します.
固くなりすぎず議論してほしいので,アルコール含む飲食しながらの参加を認めています.
(演者スタッフは少しお酒が入っているほうが自然にプレイエラーできるという面もあるらしい)

取り扱った事例

取り扱う事例は当日イベント開催までに参加者の方に資料にして共有しています.
実際に参加者の方に共有した資料を公開します.

11/01(水)の回

11/29(水)の回

12/12(火)の回

まとめのような雑談

まず,ぶっちゃけて言います.このイベントは一歩間違えると事故ると思っています.どう事故ることを案じているのかということは「重要な注意点」を読んでいただけるとある程度伝わるかなと.
それでも開催に踏み切ったのは,その危険性よりも開催する価値のほうが大きいと思ったからです.

ぼくの考える理想を言えば,ジャッジ対応の実経験を積むこととか,ジャッジ同士で裁定やジャッジ対応の議論をすることとか,そこらじゅうで星の数ほど行われればいいと思うのです.
(もちろん,一部では行われていることもあるでしょう!)

とはいえ実際に経験を積みたい,他のジャッジと議論したい,と願ってもなかなか機会がないことは理解しています.
公認ジャッジの人数が増え,なかなか稼働のチャンスが得られない・・・
ジャッジ稼働をしても,イベントの終了時間が遅かったり,いっしょに稼働したジャッジと解散後も集まって話すほどの友好関係はまだなかったりして議論のチャンスもない・・・
だったらイベントとして開催しちゃえばいいんだ!!!ないものはつくる!
・・・みたいな話は「主催自己紹介」にも書いたとおりです.

ところで,「重要な注意点」に書きましたが,現在日本のポケモンカードの競技環境において公認ジャッジが拠り所とできるものはフロアルール」「ペナルティ クイックチャート,それと対象の大会ごとに公式よりアナウンスされることがあればその内容のみであると明記しました.
ぼくは,この状況が変わったらいいなとつよく思っています.
「プレイエラーをする。その後、ジャッジを呼ぶ。」というイベントだけじゃなく,「競技ルール勉強会」みたいな名前のイベントが開ける時代が来るといいね.

記事,Xポストの紹介

参加者すざくさんによるレポート

11/01(水)の回に参加してくださったすざくさん @suzakuguren がイベント参加レポートを書いてくださいました.
どんな議論がされたのかがわかりやすくまとめてあり,とても読みやすいです!

KZさんによる参加しましたポスト

11/01(水)の回および12/12(火)の回に参加してくださったKZさんによる参加報告ポスト.
写真つきで,感想だけでなくイベントの紹介まで含めてポストいただき大変うれしいです.

かゆいところに手が届くロロたんぬさんによる宣伝

【公式】ポケモンカードチャンネルで最高な動画が上がったところにすかさずこのポストは流石です!
実際に12/12(火)の回ではロロたんぬさんとYuUさんによりこちらの動画で取り上げられていたプレイエラーをSTOP!できず進んでしまった事例を扱っていただきました.

参加者さんの参加報告ポスト

こちらよりご覧ください.

公認ジャッジの方で興味のある方にはぜひご参加いただきたいです!
ジャッジ同士で議論するイベントなので,参加者が増えると議論が盛り上がっていい感じです.


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