見出し画像

お金の使い方

うちの母の実家は一代で商売で成り上がり、地元でもかなり有名な資産家だったそうです。ただ現在は実家も売却され、もはや何も残ってはいません。
母の金持ちエピソードはよく聞くんですが、そんなに栄えたのに今は何も残ってないし誰も継がなかったんだねと言うと、つい最近まで地元にスーパーを持ってたという話が本日初めて明らかになりました。

母の実家があったのは大阪市近郊の賑やかな街です。
今でもかなり栄えています。
私が子供のころは母の実家が店を出していた市場が残っていて何回か遊びに行った記憶があり、あの市場ももうないんだねと言うと、その市場を壊して兄弟で出資してスーパーを作ったとのこと。
今もあるはずだというので調べてみるとたしかに建物自体は残っていますが、主な出資者であった兄弟が亡くなったとき建物も経営権も手放し現在はチェーン店が入っているようで、グーグルのレビューを見て厳しいものがあると己のことのように恐縮してしまいました。いろんな意味で関係ないんですが。
それにしてもここに至るまで全く知らなかった事実がまだ出てくるものだと…。

さっきも書きましたがそんな栄華を誇った母の実家も祖母が亡くなり住む人がいなくなり、老朽化に伴って更地にして売却し、今は他人様の一軒家が建っているようです。
私が20代のころまではまだ祖母が普通に住んでいましたが、つくりはほとんど昔のままで、玄関は広くいかにも昔の商家という感じ、母曰く行商の商人が玄関先に反物などを広げていたそうです。ちょっとした箱庭があり、お風呂は五右衛門ぶろ、台所は土間でしたがさすがにガスは通り、お風呂用のかまどがあり私が子供のころはそこに薪をくべて火をおこし(母曰く商売で使ってたトロ箱という木の箱を解体して薪代わりにしてたようです)、祖母が使ってた商売用の調理器具などが並んでいたのを覚えています。水がきれいで有名だったところで、家の前には井戸もあったそうですが、私の記憶の範囲ではもうすでに枯れていたと思います。

母の実家はたしかに資産家でしたが成り上がりでかなり悪目立ちしてたようで、しょっちゅう盗難に遭い祖父の枕もとのお金まで盗まれ(命があってよかったねという話)雇ってた経理にお金を抜かれ、近所の人が借金に来て貸しても返ってこなっかったりしたものの、金持ちだったので気にしてなかったとのこと。ちょっと不良の兄弟は豪遊したりしてたそうで、そりゃ衰退するわなあと話を聞いてて思いました。
とはいえ、テレビが発売されたらいち早く購入し近所の人が一目見ようと押し寄せてきたら家を開放していたそうで、一応公共の福祉にも役立っていたんではないかと思っています。お金を貸して返ってこなかったのもアチャーとは思いますが、返せと追い回すような家でなかったことに安堵もしています。

恨みや妬みも買ったとは思いますがまっとうに商売して成り上がった家だったので、何も後世に資産を残せなかったからと言って悪いわけではありません。
母は、中之島の大阪市中央公会堂を作った岩本栄之助の孫娘さんと高校の同級生だったそうです。
岩本栄之助さんは両替商の家に生まれた資産家でしたが大阪市の為に文字通り心血を注ぎ財産をつぎ込み、多くの人を助けるも最後は自身が経済的な窮地に陥りピストル自殺で命を絶った人です。孫娘さんは直接の面識はなかったと思いますが(栄之助さんは39歳で死亡)娘さんであるお母さまが父親は何も残さずに死んだとぼやいていたそうです。まあそうなるよね。
それでも、人様のために腐心して中央公会堂という公共の資産を残された事は素晴らしいことです。

最終的には自分が何を重視するかによるのだと思います。子孫にお金を残すのもいいけど、名誉は代々引き継がれるもの。
うちの先々代は特に何も残せなかったけど、それでも人様を理不尽に踏みにじるようなことだけはしなかったのは、私の誇りであるとも思います。

本日は近江商人のふるさとである五個荘に行ってきたので、そこでそういう話になったのも何かの縁かなと思います。
タイトル画像は五個荘の桜です。
五個荘は以前の仕事場にも近く、思い出深く大好きなところです。
またいずれ記事にしたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?