仕組まれた衝撃

お題「見覚えのある衝撃」

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 「運命」なんて信じていない。自分の身に降りかかる出来事はすべて偶然の産物。そこに意味を見出すのは、ロマンチストのくだらない空想だ。

「どこかで会ったことあるよね?」
「ねえよ」

 ほんっと糞みたいな口説き文句。
 まあ一夜の出会いを求める糞みたいな奴らがあつまる、糞みたいな場所だから、糞みたいなセリフしか聞けなくてもしかたない。かくいうオレもその糞の仲間だし。

 けどさあ、割り切った関係にロマンを持ち込むな、っつーんだよ。
 ロマンなんていらねえ。欲しいのは確かなオーガズムだ。

「本当に? 見覚えない?」
「しつっこいなあ。うざいんだよお前」

 今日は不漁だ。河岸を変えようと、オレはグラスを呷った。

「待てって。せっかちだなあ。もっと俺のことよく見てみろよ」

 ふふん、と笑った男が色付きの伊達メガネを外し、胸ポケットから出したシルバーフレームに変えた。ラフに垂らした髪をかき上げ……。

「おまっ……!」
「しー」

 いたずらっぽく笑った顔は、同僚のものだった。

 マジか!?

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今週は勝手に「出会い」シーンでお題をやってみようと(^_^;)

最後までご覧いただきありがとうございます🥰 あなたにもいいことがありますように💕