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【起業日記①】キャリアの原点、布おむつとの出会い(2005-2012)

2011年3月11日、日本を襲った東日本大震災。一人目の子どもを出産した育休中、夫不在のワンオペ育児中に、神奈川で被災しました。スーパー、ドラッグストアの棚から紙おむつが姿を消し、仕方がなく棚の隅に残されていた布おむつを使い始めたことが起業のきっかけになりました。

少し時計の針を戻して、今回は子どもを産む前の私がどのようなキャリアを歩み、その中でどんなことを考えていたのかをお話したいと思います。

リクルートとマクロミル。二つの競争社会を通して気づいた事実

大阪のハービスエントというビルで働いていました。

私のキャリアのスタートはリクルートです。「じゃらん」という旅行事業を展開する事業部で、旅館やホテルといった宿泊施設に向けた広告の提案営業をしていました。じゃらんの仕事は面白かったのですが、旅行領域以外のマーケティングに携わりたいと思い、マーケティングリサーチの会社であるマクロミルに転職しました。マクロミルは今でこそ名の知れた調査会社ですが、当時、特に関西では今ほどの知名度はなく、自分が開拓したい領域にチャレンジできる時代でした。

電話で「リクルートの者です」と名乗ると一度は会ってもらえる確率が高かった環境に反して、マクロミルの営業は認知度の低さからリクルート時代よりさらにハードなものでした。良いチームワークでいい成績を残そうと仕事にのめり込むほど帰れない。気づくと夜中になる日々が続きました。

どんどん仕事にのめり込む私を心配したリクルート時代の先輩が、マラソン大会に誘ってくれました。気晴らしに参加することにしたものの、結局仕事が忙しくなりドタキャン。「その選択は本当に自分の体のためになってる?仕事だけしていていいの?」その時、先輩から掛けられた言葉がなぜかずっと心に残っていました。

リクルートもマクロミルも、成果が出た分だけ給与がアップし昇進をする。非常に風通しの良い社風でした。男女の差がなく、私にとって本当に恵まれた環境でした。ただこれは裏を返すと、ものすごい競争社会です。もしこれから先子どもを産んで、時短勤務で彼らと戦ったら絶対に勝てない。頭が良くて体力もある男性と対等に戦い続けることはどうしたってできません。彼らと戦わなくていい場所はないのか?当時からそんな場所を無意識で探すようになっていました。

市場規模8億円。男性が狙わない、ニッチなビジネスマーケットとの出会い

マクロミル在籍中に、最初の夫と出会いました。彼が東京転勤になったタイミングで、私も東京の研修関係の会社に転職を決めました。リクルート時代に参加した研修の会社で、社長から声をかけてもらったことがきっかけです。彼と結婚が決まり、そこで第一子を出産し、育休中に起こったのが東日本大震災です。

第一子出産後の私です。

紙おむつの買い占めがおこり、売り場から姿を消してしまいました。仕方なく購入した売れ残りの布おむつ。使ってみるとゴミは出ないし、化学薬品特有の匂いも気になりません。何より赤ちゃんが気持ち良さそうで、すっかり布おむつに魅了されてしまいました。

でもそれと同時に気になったのが使い勝手の悪さ。汚れはなかなか落ちないし、洗濯機に入れるとおむつ同士が絡まってエラー音が鳴り響きます。おむつカバーはサイズ展開も細かく、赤ちゃんの成長に合わせてこまめな買い替えが必要です。改善ポイントがたくさん思い浮かび、ふと「布おむつの市場規模」が気になりました。

マクロミル時代の知見を活かして調べてみると、布おむつを使う人はだいたい4%。その年の出生数がざっくり100万人なので、毎年4万人しかユーザーがいません。客単価2万円としてもマーケット規模は8億円。これだと思いました。普通は狙わないニッチなマーケット。自分がもし男性だったら、絶対にもっと大きなマーケットを狙うはずです。乳飲み子を抱えながら起業をしても、太刀打ちできない競合が現われる可能性は低い。男性と戦わなくていいマーケットはここかも知れない。そこから私は布おむつを商品化しようと、工場探しをスタートしました。

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