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交流戦に入って好調が続くファイターズ。広島カープとの3連戦。清水優心の「緊張感に欠ける」プレーと二軍落ちに思ったこと。


2023 6/10出場野手

交流戦に入り、ファイターズは、ヤクルトと巨人に勝ち越し。とって返してエスコンでカープに3連敗。続く阪神には2連勝。
相変わらず闘いぶりは不安定で、オールスター前に目指しているだろう勝率5割は、近づいては遠のき、遠のいては近づき…。交流戦5割ではファイターズはダメなんだよね。最低でも勝ち越さないと。

本日、6/10のファイターズは、アリエル・マルティネス、加藤豪将、伏見寅威の3名がお立ち台に上がった。3人とも今季新加入の選手だが、ここ最近のファイターズの勝ちにはかかせない選手になっている。昨年「トライアウト」と称して生き残った選手たちも万波中正を筆頭に活躍を見せている。

さて、話は、カープとの3連敗に戻る。この時点でファイターズの負け越しは7に戻っていた。ミスの連発からの3連敗で新庄さんのイライラはピークに達し、バックホームをキャッチしきれず、次のランナーにまでホームインさせて「インプレー中にミットを外すなんて、緊張感に欠けている」と非難された清水優心が、即日、二軍落ちとなった。

わたしは、このシーンをテレビで見ていたけれども、確かに優心は、エラーした直後、ホームベースを背中にマスクを外して、立っていた。
その背後からランナーが突っ込んできて、慌ててバックアップしていた上沢くんからの送球を受けてタッチに行ったが、間に合わなかった。
この時「ミットを外していた」ということだろう。

野球素人にはわからないけど、インプレー中にミットを外すなんて「ありえない」(山田コーチ)ことだそうだ。優心自身も「言い訳はできない。僕が悪い」と反省の弁を述べていた。

そうしてネットニュースに、新庄さんの「苦言」が見出しとなって回った間際から、優心への叩きは始まる。言い訳はできないのだったら、わたしだけでもしてみたい。

あのバックホームのボールをそらして、カープの上本選手がホームへ突っ込んできた直後、審判と激しくぶつかって、倒れ込んでいた。
テレビ画面も写していたが、優心は、その様子を見て、上本選手と審判の方へ動いてしまっていた。瞬間的に意識が、そちらへ行ってしまっていたのだと思う。結果として、背後からきたランナーに気づくのが遅れ、4点目を献上してしまう。

一瞬でもインプレーなのをキャッチャーが忘れるなんて「緊張感が足りない」「ありえない」のだとしたら、子供の頃から野球をやって、ずーっとキャッチャーで、ファイターズでもキャリア9年になろうとする選手が、その基本を覚えていないはずはない。身に染み込んでいるはずだ。

先だっての同じ捕手だが、古川くんがアウトカウントを間違えて得点できず「あんなプレーをしていたら勝てるわけがない」とやはり二軍に落とされていたけれど。そもそもこれもアウトカウントを確認するのは、条件反射的に野球選手には組み込まれている作業であり、ましてや捕手ならなおさらのはずだ。

なのに彼らは、犯してはならない判断ミスを犯したーとしたら。
それは、本当に彼らに緊張感がなかったり、怠慢だったりするせいなのか。

新庄さんや山田コーチがいうんだから。そうなのだろう。
スポーツ新聞やネットでニュースになってるんだから、そうなのだろう。
だから、そういう選手はファイターズにはいらないんだ。勝つためには「厳しく」対応(排除)するべきなのだ。

実際、翌日の阪神戦には連勝している。新庄さんたちの厳しさとファイターズの判断は正しいのだと証明されているじゃないか。

まあ、現実は、そういう風に流れていくんだろうけども。
でも、あたしは、やっぱり「それは違うと思う」とは言っておく。

優心は、緊張感に欠けていたのではなく、目の前の出来事に反応してしまっただけだ。目の前で倒れた人と痛がる審判に気を取られて、一瞬プレーを忘れた。偶然起こってしまってことで、間が悪かったんだよ。
古川くんは、多分だけど、やっと昇格した一軍の試合で、なんとしても結果を出したかったんだろうし、起こるはずのない判断ミス、ボーンヘッドは、なんというか逆に普段と違う緊張の中で起こりやすい。頭の中が散漫になってしまうから。

 そういう誰もが持っている人間味のようなものを「勝つためには必要ない」と、ただ切り捨てて良しとはしたくない。そういうものの集合、いかんともしがたい人と時間、諸々のあわいの結合が、グラウンドに立ち現れる。その刹那が、特にプロ野球という日常娯楽の面白さだと考えるから。

新庄さんは、一発勝負に賭けるのが好きな監督だ。
与えられたチャンスを一瞬でつかみ、強い集中力で自身の能力を発揮しえる選手を選ぼうとする。
それは、言い換えれば「運の強い選手」のことでもある。
さらに言えば、それらはみんな彼自身の分身のような選手である。

ふさわしくないと判断された選手は、躊躇なく排除される。
どんどん異分子は排除されて、まるで自分自身のように動ける選手が生き残っていく。

「本当に良いチームになってきたよね」

確かに、ファイターズの成績は上がり、試合は緊張感に溢れ、面白いゲームが続いている。選手たちも楽しそうに働き、エスコンフィールドの人気も上々。今年は優勝するにはちょっと足りないかもしれないが、3位に上がってCS進出の目は、非現実的ではないところまできてる。

流れ的にはそう見える。多分、合ってる。
だけど、もう仕方がない。
わたしは、この今のファイターズのチーム作り。新庄さんのやり方は、どうしても好きになれない、というか肯定できない。

勝っていけば、何もかも正しいことになる。
プロ野球は結果が全て。

と言われても、わたしは、そうは考えないので。
結果だけが、全てではない。勝てばええっちゅうもんではない。
この胸から消えない、もやもやの答えは、いつか出る時が来るのだろうか。
とにかくしつこいあたしだから、考えようとする気持ちが、終わるまでは続く。







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