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『秋唄』うたいながら~千曲と私⑩~

一桁の気温が増えてきた

朝の冷え込みと
高い空

キリリと澄んだ空気が
最高に美味しいのが秋


秋よ秋の秋みだれし日
きみは夏を胸に抱いて 

『秋唄』大江千里

思わず口ずさみたくなる空に
出会えたりして

きみの住んでる 街に向かうバスを見て
ちょっと人恋しくて
ため息なんか ついちゃって


大江千里さんの曲には
季節ごとに聴きたくなる曲がある

大好きな「秋唄」

タイトル通りの 秋のうた

1998年10月から11月にかけて
NHKのみんなのうたで流れていたのを私は知らずに生きていた

シングルで仕事と子育ての両立に無我夢中で
時間に追われるように生きていた時期で
自分が何を好きか思い出すこともなく
好きな音楽を聴くことすら忘れていた日々があった


秋唄を知ったのは何年もあと
我が家にネットが繋がって
自分に余裕を取り戻し
play logでブログを始め
そこで出会った千友さんたちがいたから

当時アルバムには入っていなく
シングルのカップリングとしてしか
CDで聴くことはできなかった
それでも千里さんファンの中では有名で
名曲といわれていて
探してみると
YouTubeでみんなのうたの動画があり
聴いた (今は探しても見あたらない)

確かに名曲だった

切ないメロディラインにのる
秋の心と風情を織り成す歌詞が秀逸で
一度聴いただけで心を鷲掴みにされた曲

鼻の奥がツンとして
体の中に秋が沁みていく曲

今年は柿の実が大きいと
洗濯する手をふと止めて
乾かないシーツ越しに
物干し台の母が言った



10年以上前のクラス会の案内状
出欠とともに近況を書く欄があった

その年の幹事は
学生時代 何度も千里さんのライブを一緒に見に行った友人だった

きっとわかってくれる、という期待を込め
茶目っ気を出して 近況欄にこう書いた

秋みだれし日

相変わらず忙しく
同じ自分を生きてます

ちょっと人恋しくて
ため息なんかついちゃって♪

数日後、メールが届いた
「大丈夫? クラス会前に会おうか?」

彼女はもう千里さんの曲から遠ざかっていて
歌詞だと気付いてもらえず
イタイ人だと思われた苦い思い出

秋の空の鱗雲だね
きみの目に光るさざ波よ♪

さざ波のような鱗雲の下で
そんなこともあったなと
ひとり笑い


秋よ秋の陽は短くて
ペダルこげば 風が冷たい♪

『秋唄』大江千里

でも 冷たい風が 好きなの
気持ちもキリリと澄んでいくようで


風にひらりと舞いながら
階段や地面や橋の隅っこへと
積もり重なる小さな葉たちも美しく
心清らかにしてくれる秋

サクサクと足元の音も
足裏に伝わる感触も
心地よくて

ひとつ ぽつんと
柵に乗った黄色の葉

みんなを眺めているみたいに
ちょこんと座っていた

その姿を見るだけで
嬉しくなったり
センチになったり
心は揺れる
そんな空気感


秋唄うたいながら過ごす
小さな街角 秋の中



🍁🍂


かわいい( *´艸`)


もう歌ってはくれないけれど
jazzピアニストになってからも
秋唄をjazzバージョンに格好よくアレンジして
今なお演奏してくれていることに感謝

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