紫りえ♪

ゆるめ日常エッセイと詩と詞を書く人☆講談社NOVELDAYS「OurDAYtoDAY」…

紫りえ♪

ゆるめ日常エッセイと詩と詞を書く人☆講談社NOVELDAYS「OurDAYtoDAY」最優秀賞にてtree掲載/同社2021エッセイ賞佳作/旅する日本語連続入賞等☆Lyricist➛メロ先詞先ともに受賞歴あり/配信リリースやCD収録もされてます☆ミルクティーとビールをこよなく愛す

ウィジェット

マガジン

  • 『my closet 』~名刺用マガジン~

    初めましての方はこちらから コンテスト入賞作品、おすすめ記事や投稿ピックアップに選ばれたものを収録 いくつか改稿してノベルデイズへも転載中

  • 『私的気まま帖』essay note

    「非凡でなくてもいい、きみとなら何かが話せそうさ」がモットー 気ままに思いつくまま

  • 『私的気まま子育て帖』Parenting note

    夢中だった日々を ゆるめに振り返りつつ 気ままに綴る 子育てあれこれ

  • 『気まま読書帖』

  • Senri Oe Live report magazine

    • 13本

    千里さんの各地でのライブレポートを集めています。 これを読んで心参加するもよし。書いて共有するもよし。一緒に楽しみましょう☺️

  • ~娘へ贈る歌~『DEAR GIRL』 作詞 紫 …
  • 夏友日和
  • 雲が流れる夕空に【オリジナル曲】
  • ペパーミントツイスト
  • IMA! Restart 【オリジナル曲】

最近の記事

手土産とただいまと

 ドアが開くと冬の冷たい風が車内に流れこみ、その空気を纏った人たちが乗り込んでくる。  度々足を運んでいた推しがいるこの街へ住みつこうと思ったのは、そこかしこでジングルベルが聞こえる頃だった。キラキラした装飾のなかを歩いていると少し疲れて、駅前からバスに乗り、大里というバス停の近くにあるカフェへ向かっていた。  ショッピングセンターに出ていた巨大なツリーの横に不釣り合いなほど達筆な筆文字で書かれた「紅茶専門店」という幟が気になり行ってみようと思ったのは、この街をもっと知りたい

    • 『神無月のじかん』~秋散歩~

      秋の向こう側が 微かに感じられる風 僅かな変化が肌に染む 顎を少し上げて キャスケットのつばも上げて 彩りの変化を愉しむ このあとまた 景色を溶かす雨が降り 流れる空気を冷やしていく 感傷的な旋律に乗せて 秋を仕舞い込まないで いま視える空を受けとめ いま感じる風に身を委ね 凛と澄む秋空へと 願いをかけてゆく 大好きな季節のじかん そっと樹々の袂に佇み 話し声に耳を澄ませる 風に揺られる一員のふりをして ここを始めた当初に書いたプロフィールには、好きなもののひと

      • 『縁』〜近況など〜

        見据える雲の向こう ゆるりと風にのり 運ばれてくる縁 かき消えたり 立ち込めたり 空は語らずに ただ移り変わる それぞれの場所 それぞれの方向 それぞれの時機 繋がる願いと交わる言の葉 消えゆく想いと重なる憂い 誰かを想ったり 誰かに想われたり 織り成し紡いでゆく日々の中で 仄かに仄かに感じてくれたなら たとえ側に居ないときでも 北の空は、お盆過ぎたら秋の風、とよく言われる。 帰宅後、西日の陽射しで上がった室温の、籠もった空気を逃がしたくて、すぐに家中の窓を開け

        • せわしさもよき四月最終日の朝

          あっという間にひと月が終わってしまう。 空へと伸びる枝先に新芽が、道端や庭先に花が、歩いていると目につくようになってきた。 我が家の朝晩は、まだ暖房オンである。 それでも記録的なまでに積み上げられていた大雪は、上がる気温に追い立てられるようになくなって、芽吹きが顔を出し、風景に彩りを増やしてすっかり春だ。 先月職場を去った彼女から、郵送で菓子折りが届いた。理由を知らないスタッフも多いから、添えられた手紙は簡潔な挨拶のみだった。ただ、差出人の住所が「あの町」のものだったから

        手土産とただいまと

        マガジン

        • 『my closet 』~名刺用マガジン~
          14本
        • 『私的気まま帖』essay note
          64本
        • 『私的気まま子育て帖』Parenting note
          38本
        • 『気まま読書帖』
          9本
        • Senri Oe Live report magazine
          13本
        • 『千曲と私』
          19本

        記事

          闇夜に浮かぶ雪花のような

          人はどれだけのこころを隠して生活しているのだろう。 あの日、そんなことを考えながら、ネットで紅茶を検索していた。四年前に私自身が前職場を退職したときに頂いた紅茶と同じものを。 ティーバッグが入っている小袋の中に、一緒に乾燥した輪切りのレモンが入っていて、カップにそれらを入れてお湯を注げば本格的なレモンティーが出来上がる紅茶。初めて見たときに感動し、淹れて美味しくてまた感動した。退職後に私は、それを選んでくれた後輩と一緒に過ごした時間や会話、そしてセンスの良さを思い出したり

          闇夜に浮かぶ雪花のような

          うたたねする娘のちから

          細かな雪が 音もなく降っている 正直 今年はもう見たくない それでも雪は 外の気配に静けさを纏わせながら ぺたりと冬を置いていく 夜の帳。静かだな、と唐突に気付いてキーボードを打つ手を止めた。 雪だけのせいではない気配が漂い、夜を包んでいる。 冬の二重奏とも言える加湿器の音とストーブの低いノイズが、いつも以上に室内に響きわたり、妙に平和な静けさが室内に満ちていた。 なんだろう。 隣の部屋にいた私は、リビングの様子を伺いに立ちあがる。 テレビはいつの間にか消えていて、ソフ

          うたたねする娘のちから

          『鳴き雪 聞きながら』

          降っては積もり 積もっては除けて 今日も街は氷点下 小路は新年の静寂 足音だけが響く 雪を鳴かせて きゅ、きゅ、きゅ、きゅ、 凍れる朝こそ 高く切ない音が天空へと その鳴き雪が聞きたくて また 踏む 歩いていく 足もとから発せられた雪の音は ひっそり雪へとまた吸い込まれ その瞬間が 連なり重なり陽だまりをつくる きゅ、きゅ、きゅ、きゅ、 鳴く音が 心を揺らし 音を吸い 言の葉を包む 耳を澄ませ 感覚を研いで 舞い落つ詞は雪のように こっそりと積もらせなが

          『鳴き雪 聞きながら』

          くるとしまでの時間

          一年が終わるときに響く除夜の鐘。 幼いころ、元日にニュース映像で流れるその音を、どうしても大晦日の夜に聞きたかった。年を越す瞬間を確かめたかった。年越しイコール除夜の鐘というイメージが植え付けられていて、だから確かめるには除夜の鐘を聞かなければと思っていた。大人たちは大晦日には必ず起きていて、きっと何かが、分からないけれど何か特別なことがあるのだと信じていた。 時代は昭和である。 レコード大賞からの歌合戦、ゆく年くる年という流れのなかで私は育った。そして道産子なのである。そ

          くるとしまでの時間

          神無月、ある日ある街で。

          親の所用で休みをいただいた。もろもろの手続きのために街から街へと移動する一日。 早朝に郊外へ向かって運転をしていると、隣町に入ったころから尋常ではない濃霧が辺りを包んでいた。視界不良で緊張感が高まる。ハンドルを握っている手に気付くと余計な力が入っていて、その度に必要以上に握りしめてしまっている手の緊張を解く。何度か同じことを繰り返して、ふと客観的になり可笑しくなる。時間に余裕のない自分と重なり、思わず「リラックス」とつぶやいていた。 徐々に霧が晴れてくる。地上から水蒸気が

          神無月、ある日ある街で。

          『冷や風とこころの行方』追記しました

          さわさわそよぐ秋桜の後ろ姿 温いよりも凛とした冷や風が ときには心地よさとなる たとえ思い通りいかなくても こころの行方を愉しみながら 広い宙へと身を浮かべ 現を漂い 時を積み そしてまた言の葉を探す 散らばってゆく雲たちが 夕闇に溶け込むその前に             「書く」作業の中で作詞をしていることが増えました。 作詩ではなく作詞・歌詞です。 文章はどこまでもとめどもなく書いて長くなってしまうタイプなのですが、今はそれを封印して、限られた短い枠の中に起承

          『冷や風とこころの行方』追記しました

          『夏の匂いと細い月』

          窓から吹き込む夜風が 夏の匂いになっている 夜の気配を纏う静けさの中 西日の熱をふくんだままで 鼻腔をくすぐってゆくから 深く吸い込んでみたりして うつろう季節を味わう 窓辺に座ってプルタブを開け グラスにビールを注ぐ 白い泡が 絶妙に立ち上がり ジジジジとアナログラジオのノイズのような 小さな音を立てて 風に紛れていく その溶け込んだ粒子を また深く大きく吸い込む 1ミリだけ伸びた爪みたいな 細い細い月が浮いていて わたしを喜ばせる 三日月や それより細い月に惹か

          『夏の匂いと細い月』

          『帰路』

          日暮れ時 夏至を過ぎ今宵の日の入りは 19時17分頃 昼間の余韻と 忍び込む闇との 谷間に浮かぶ薄群青 涼やかさを十分に含む風が 伸びた髪の隙間をそよいでいく 厚みを増しながら足早に動きまわる 蒼みがかったグレイの雲 その下で 北の大地の夏の花 紫陽花が ほんのりと形をつくり始めていた 水無月最終日の帰路 遠くから見ると、葉色と同じように見えるのですが、こうして写真に撮ると色の違いが分かりますね。 画面の中のあちらこちらで紫陽花を堪能した六月ですが、梅雨のない北

          『帰路』

          とりとめもなく備忘録のように ②

          先月から引越しでバタつく中、書く幅を広げすぎて首を締めていました。 そのぶん、言葉とひたすら向き合っていて、脳が溶けてしまったのではと思うほど脱力したり。 訂正のきかない紙の文章は緊張します。締め切りギリギリまで粘っても、なかなか最後の一文に違和感が拭えず、満足いかぬまま提出。その翌日に言葉がさらりと降りてきて。どうして今なの、と愕然としたりしていました。思いつかないなら最後まで思いつかないでほしかった。そのほうが、もはやここまでよ、と諦めもつくというもの。 そんな日々から

          とりとめもなく備忘録のように ②

          さつき半ばに遅咲きの桜便りを

          通勤経路の車窓から視界に入っていたピンク色は、いつの間にか散ったのか新緑に変化していた。 それでも大丈夫。 蕾でスタンバイしていた八重桜が、バトンを渡されたように、もっと濃ゆく鮮やかに開花していくから。 数日前、久しぶりに歩いた。 小路をてくてくと。 やはり見かけるのは八重桜が多い。 わさわさの花びら。 あまり見かけたことのない、しだれ桜を見つけて感動。 その佇まい。 しばし目を奪われて、真下に入って空を見上げてみたり、遠く離れてしなる枝の様子を眺めたりした。 そ

          さつき半ばに遅咲きの桜便りを

          ダブル引越し中~逃避したり戻ったりしながら~

          先月卒業した次女が戻ってくることになったので、休みのたびに車で少しずつ荷物を運び出している。同時に、昨秋一度戻ってきていた長女が家を出るための引越し準備をすすめている。 この春は、ダブル引越しで気忙しい。数少ない休日のほとんどを、荷物を運んだり詰めたりほどいたりしている。桜を見逃すのではと思うほど。 今年は桜前線も、同じようにとんでもない気忙しさで北海道までやってきた。5月でいいのに、と思う。今は祝日も休みがないので、GWに咲いても見に行く時間はないかもしれないけれど。で

          ダブル引越し中~逃避したり戻ったりしながら~

          『強い雨が降っていたから』

          きっと雨音で目覚めたのだろう 強い雨が降っていた まだ朝になるまえのころ そっと目頭を指先で押さえると 薄闇の色が深くなり 雨音が近づいてくる その音に追い立てられるかのように 頭は、凛と冴えていく 目は、まだ開けないでとまぶたに懇願している そんなやりとりを笑うかのように アスファルトや窓ガラスを打楽器にして 激しくリズムを打ち続ける雨 参りました、と 電気を灯し枕元の単行本を手に取った 室温を確認し暖房を点ける 集中力の欠けたなかで読んでいると 新聞が届く音がし

          『強い雨が降っていたから』