アメーバ経営の読書感想文①

稲盛氏は、なぜアメーバ経営なるものを作ったのだろうか。

今回は、その背景についてまとめる。

アメーバ経営といえば京セラ 稲盛和夫氏が生み出した管理会計手法である。
こういうと、なんだか難しそうであるので3行でまとめてみる。

・労使闘争が頻繁に起こり、一方で市場の動きは速くなる時代背景。会社は大きくなっていく。
・これらの課題を解決するヒント「現在の数字を把握すること」「大家族のような運命共同体」「経営者意識の醸成」
・実現するための組織構造と、管理会計の仕組みがアメーバ経営である。

アメーバ経営と「生きた数字」

世の中の動きは、速くなる一方。市場の動きを敏感に察知し、手を打っていく必要がある。

そのような中で、正しい経営判断を行っていくためには、経営者が「生きた数字」を見れることが重要である。どの部署が、どれくらい価値を生み出したのかを「生きた数字」で把握するために、各部署のキャッシュイン・キャッシュアウトを定量化したのだ。

「キャッシュフロー会計」という言葉を聞いたことがあるだろうか。実際に動いたカネに着目した会計手法である。手元のキャッシュがなくなると、仕入れなどの支払いができず黒字倒産する。給料の振り込み前にカードの引き落としが来て払えなくなるような状態である。今でこそ重要視されるようになったが、アメーバ経営ができたころには、まだなかった。

稲盛氏は、キャッシュフローの概念がなかった時代に、手元に残るお金の重要性を認識し、「生きた数字」として把握する方法を編み出したのだ。

アメーバ経営と昭和の労使闘争

昭和の時代には激しい労使闘争なるものがあった。
労働者は「賃金上げろ!」、経営者は「無理!働け!」といって平行線をたどるアレである。

ここでちょっと目線を変える。
昭和には、大家族なるものがあった。
古き良き大家族では、家族の一人一人にに役割があり、家のために働いていた。
家長の波平がいて、家を切り盛りしてるフネとサザエがいて、外からお金稼いでくるマスオがいて、それぞれが、家族のために自分の仕事を行う。

マスオやサザエは波平に対して、「労使闘争」はしていない。
(マスオは、もっと広い部屋をくれないと、家にもうお金いれませんよ?とは言わない...と思う)

それはなぜか?

家族のためという運命共同体だからだろう。

セカンドリーダーたちを育成する場が必要


まとまっていないアメーバ経営背景のまとめ

労使闘争で、経営者と労働者が内輪もめしている。
これをどうにかするには、組織を事業単位(アメーバ)に分割し、労働者に事業の経営に参加してもらう。そうすることで、労働者にとって事業や会社が自分事化し、争いがなくなり、ビジョンに向かって邁進できるのではないか。
さらに、事業単位に分割することで、市場の変化にも適応しやすくなる。

もちろん、分家同士のお家騒動のように、アメーバ同士の争いが起こる危険もある。
そこは、事業部のなかで、リーダー経験を積ませて、経営者幹部として適切な人材を育て、昇進させることで対応する。
生え抜きの社員も大切にするが、外から入ってきた才能のある社員も引き立てる(この部分は、才能のある養子をとって栄えていった江戸時代の商家に通じるものがある)。

アメーバ経営は、家族という集団を抽象化して、経営管理に適応した経営手法と感じた。

具体的に「どのような管理会計の仕組みが作られたか」については、次回以降にまとめたいと思う。

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