アシュケナージのベートーヴェン

いいオーディオ環境で聴いたのではないので、あくまで主観なのだけど。

ベートーヴェンピアノソナタ「アパッショナータ」(熱情)を聴きたくて、
バックハウス🙁
ポリーニ😑
辻井伸行😓
ケンプ🙂
ときて、
アシュケナージ😃!
やっぱり若い頃聴いた刷り込みなんだろうか。70年代のアシュケナージ凄い。
クリスプで、ペダリングの余剰(濁り)がなく、流れに乗っていて、肝要な音の打鍵が深い。
まあ、好みの問題だろうけど。

で、悲愴を聴き、告別を聴き、
勢いのままに、
久しぶりに28番と最後のソナタ32番を聴いた。
28番が思いがけずよくて、
32番は静かに滂沱の涙。

晩年のベートーヴェンって今の私と同じくらいの歳じゃないか。
昔は大人になるのや老成するのが早かったのかもしれないけど、
なんだろう、この瑞々しさは。
自分らしいしつこさを、制御するのでなく繰り返しの経典のような美しさに昇華していて、それを若きピアニストは噛みしめて遠くをみながら鳴らしている。

音楽はいつでも、ここで終わりではないという勇気の温かな水を
ひたひたと、身体に湛えてくれる。

この頃、指揮者としてのアシュケナージの雑なところばかり聴いてた気がするけど、
こんなに、泉の底から湧いて届く音を聴かせてくれる奏者だったのだ。

いつかロンドンのこの教会のホールに行ってみたい。

珠玉。


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