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私の好きな映画のシーン(57-2)『博士の異常な愛情: または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』

 前回第57話で書き忘れていたことがあり、エクストラで第52話の2で、追伸させて頂きます。
 邦題は『博士の異常な愛情: または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』ですが、英語原題は"Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb"です。
 外国映画の原題を邦題にする時、日本人に分かりやすくて耳目をひくキャッチーな邦題を考える配給会社の方々の苦労は、以前映画製作・投資に関わっていた頃に目の当たりにし、大変な作業だと感服したことがあり、また、個人的にも秀逸な邦題に出会うと「おー」と喜んでしまいます。"Basic Instinct"を『氷の微笑』に、"The Longest Day"を『史上最大の作戦』になどと、名作ならぬ名邦題の歴史は、映画好きにとっては堪りませんね。
 さて、この『博士の異常な愛情』と短くもできる邦題ですが、本来ならば『ストレンジラブ博士』です。映画に登場するDr. Strangeloveのその名前を冠しています。しかも、そのDr. Strangeloveは、映画の途中までは現れず、ストーリーが起承転結の「転」になってきて初めて登場し、この映画が持つブラック・ユーモアの核心を担います。ドイツ出身で、おそらく第二次世界大戦後にアメリカに亡命してきたと思われるDr. Strangeloveが何故「変態な愛情」という名前なのかは…ネタバレするので伏せますが、スタンリー・キューブリックがこの"Dr. Strangelove"という英語原題に込めた意味は、とてつもなく大きく、その英語原題を抱えてこの映画を観ると、観え方がかなり変わってくると思います。
 そうそう、この映画での楽しみはピーター・セラーズの怪演も語らねばなりません。英語原題となったストレンジラブ博士、紳士的に状況に対処しようとする英国空軍のマンドレイク大佐、そして何事も冷静に対処しようとするマフリー大統領と、まったく異なる三役を演じ分けています。メイキャップの技術もあるでしょうが、ピーター・セラーズという俳優の凄みを楽しめる映画になっています。
 以上、昨日の第57話で書き忘れていたことを、追伸とさせて頂きました。中嶋雷太

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