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私の好きな映画のシーン(25)「オズの魔法使い」

 「映画を作るならエバー・グリーン・タイトルをいつも目指したいものだ」という「志」があります。
 エバー・グリーン・タイトルとは、いつまでも緑豊かな作品、つまり、何十年経ても観客を楽しませられる作品のことです。私の好きな映画の一つ「オズの魔法使い」は、まさにこのエバー・グリーン・タイトルです。
 米国公開は1939年(昭和14年)ですから、日本の真珠湾攻撃の2年前で、軍国主義に猪突猛進していたころです。そのころに、アメリカでは、カラーの映画、しかも夢のようなミュージカル映画を製作していたわけですね。日本公開は1954年(昭和29年)で、軍国主義の嵐が過ぎたものの朝鮮戦争があり、東西冷戦が本格化していた時代でした。
 ストーリーはよく知られているので割愛しますが、私の好きなシーンは、ドロシーが「虹の彼方に」を歌うシーンも好きなのですが、ドロシーがカンザスの家に戻り、夢のなかで(?)出会った案山子、ブリキ男やライオンだった、ハンク、ヒッコリーやジークに出会うシーンです。
 ドロシーと一緒に夢のような旅をした観客の私も、ドロシーと一緒に現実に戻り、少し寂しいような、けれど少し大人になったような気持ちになれるシーンです。
 後年、主役を演じたジュディ・ガーランドが同性愛者に理解を示していたので、「虹の彼方に」から虹のフラッグが同性愛解放運動の象徴となったという説を知りました。L.A.在住時は、ウェスト・ハリウッドという同性愛者の方々が数多く住んでいる街に住んでいたこともあり、虹のフラッグが身近にあったものの、その起源が「虹の彼方に」にあるとは知りませんでした。
 数年に一度、「オズの魔法使い」のDVDを取り出して楽しみますが、ストーリーを熟知しているにも関わらず、あのラストシーンで、ほっこりする私がいます。そして、エバー・グリーン・タイトルになるような作品を作りたいという「志」を確かめます。中嶋雷太

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