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音楽があれば(16)MATT and KIMの音楽性

 PINKというティーン・エージャー向けのブランド・ショップのBGMで「お!」と興味を持ったのがMATT and KIMの楽曲に初めて出会った瞬間でした。このPINKというブランドは、蛍光色が基本になっているポップなデザインの服飾ブランドで、アメリカのサイズ感のおかげで、XLサイズであれば、中肉中背より大柄の私でも着られ、デザインも秀逸なものがあります。今のところTシャツしか買ってはいませんが。
 さて、MATT and KIMです。
 彼らの良さは脱力感たっぷりなのに、どこかに辛辣な感じというか、世の中をそのまま捉えずに、歪めて見ている(世の中が歪んでいるのでしょうが)感じがとても良く、初めて耳にしたときから新たなパンクではないかと思いました。そして、彼らの脱力感あるカジュアルさもまたたまりません。さらに、使う楽器も特にこだわることのない、日常生活にあるようなものを叩いてリズムをとっているようなどこか素朴な感じもまた、さらに彼らの楽曲の不可思議な良さだと思っています。2005年にYouTubeが始まった翌年の2006年にアルバム『Matt & Kim』でデビューし、さらに翌年2007年に初代iPhoneが発売されたので、彼らはインターネット世代より前なのですが、現在インターネットから火がつくような楽曲よりも、よりインターネット的という感じもします。最初の出会いが、まるで学生バンドがなんとなくデビューしたぞ!感に溢れていたので、インターネット環境文化の先駆けのようにも錯覚してしまいます。アメリカのニューヨーク、ブルックリン出身の二人は、2004年にこのグループを結成したわけですから、インターネットというメディアが完全普及しスマホ文化が常態となった現代メディア環境の一世代前として活動を初めたのは確かですが。MATTであるマット・ジョンソンは「ポップ・パンクとヒップポップを愛していて、ヒップホップのようにビートとメロディーを壊し、エネルギーとポップさを加えたと考えた」とある雑誌で語っています。この説明に、ふむふむと納得したのは言うまでもありません。
 2010年にフジロックフェスティバルに出演したようですが、今のところ日本では彼らは良いねと話題に上ることがないので少し残念です。が、もしお時間あればぜひ聴いてみてください。中嶋雷太

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