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悲しきガストロノームの夢想(60)「アメリカン・ドッグ」

 L.A.在住時、「アメリカン・ドッグが食べたい」となり、ホールフーズやラルフスーなどの地元スーパーや日本食をメインとしたニジヤ・マーケットに行ったり、ドジャースの本拠地ドジャー・スタジアムの売店を覗いたり、住んでいたウェスト・ハリウッドで開催されていたハロウィン・カーニバルであちこち店を覗きましたが…一向にアメリカン・ドッグの姿がなく、諦めました。調べてみると、アメリカのコーンミールの生地を使ったコーン・ドッグを改良したもので、アメリカン・ドッグとは日本オリジナルのようです。
 さて、初めてアメリカン・ドッグを食べたのは、小学生の頃、縁日の夜店だったと思います。少し甘めの生地を、カリカリっと表面を揚げたのにケチャップとマスタードを垂らしてガブリと頬張ると、幸せ感が満載になります。さらに、安っぽいソーセージであれば尚のこと、そのジャンクな味わいはなんともいえず、味覚を震わせてくれます。
 この十数年ほどで、冷凍食品はさらに質と量がアップし、ちょっとしたスーパーに行けば、冷凍のアメリカン・ドッグが手に入る時代になりました。
 縁日の夜店でしかであえなかったアメリカン・ドッグがいつでも手に入るようになると、何故か、憧れ的なものは無くなりました。ただ、ある日突然「アメリカン・ドッグが食べたい!」となるものです。
 先日のこと。その「アメリカン・ドッグが食べたい!」モードに入り、久しぶりにアメリカン・ドッグを食べましたが、魚肉ソーセージこそ、アメリカン・ドッグには欠かせないと気づき、アメリカン・ドッグはやはりジャパニーズな美味しい食べ物なのだと確信しました。中嶋雷太

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