くだらない戯言2:ガーデニングという例えはできるけれども

よく、ポジティブな言葉を口にし続ければ、願いはかなう、と自己啓発系書物には書いてある。原理上、私は、間違っていないと思う。でも、実際には、そうは問屋は下ろさない。それは、なぜなのだろう。理由は、簡単である。このテーゼには、避けがたい「大前提」があるのだ。それは、「心の底から」ポジティブな言葉を口にしていれば、という大前提なのだ。「心の底から」ポジティブでなければ、口にしたポジティブな言葉は、口先三寸の「嘘っぱち」でしかない。むしろ、ネガティブな言葉にすぎないのだ。それでは、願いが叶うはずはない。

では、「心底」ネガティブな人間が、「心底」ポジティブな人間になれるのだろうか。答えは否。いや、困難くらいにとどめておこうか。

ガーデニングに例えてみようか。ネガティブな感情とは、雑草みたいなものである。その勢いはすさまじく、抜いても抜いても、すぐにまた生えてくる。ガーデニングならば、土を入れ替えたり、植え替えたりすれば、対応できるのかもしれない。しかし、現実の人間には、それを適用できない。この例えをそのまま使うならば、首をすげ変えなければいけなくなる。首を切り取って、新しい「ポジティブな首」を置く。非常にホラーな話になってしまう。

ポジティブな人間からすると、ネガティブな人間は、理解しがたい人種だと言う。理論的には、その気持ちは分からなくはない。彼らが口にするポジティブな言葉は、「心の底から」出てきた誠の言葉なのである。彼らからすれば、ポジティブな言葉を口にし続ければ、願いはかなう、というテーゼは、「経験的に言って」道理なのである。逆に、叶わないことが「本能的に」理解できないのだ。

しかし、ネガティブな人間は、「この簡単な道理」を実行しても、効果を出せない。だから、「ネガティブな」人間なのである。それを変えるには、先ほどの例えで言えば、首をすげ変えるしかないのである。それが実現不可能な話であることは、今さら言うまでもない。もし、ネガティブな人間にシンプルな成功法則があるならば、それはまた全く別の道理でなくてはならない。「ネガティブという雑草」の生命力を侮ってはいけない。

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