そこにいてくれるだけで 家族のカタチ
80代女性 認知症
介入当初は伝い歩きができていた。
自発的に歩かれることはなく、いつもニコニコたまにウトウト。全ての生活は支援によって成り立っていた。ご家族様は患者様と自宅にて過ごされているとのこと。
当時、尿路感染による発熱治療のため入院。自宅退院を目標にリハビリオーダーを受けた。
リハビリに伺う頃、家族様(娘様)がよくお見えになられていた。
娘様『〇〇さん、歩くよー!イチニイチニ♪』
娘様は患者様の名前で話しかけておられた。
当時の私はというと、
(すごいテンション高い方だなぁ)
と、少しビックリしていました。人前でも大きな声でにこやかに溌剌とした表情で優しく声をかけられていた。
時は過ぎ、
その患者様はベッド生活となって再入院された。
私が担当し、ベッドサイドにて拘縮予防(身体の硬さを作らないようにアレコレ介入)を行っていました。
そこに娘さまがお見えになられひさしぶりに顔を合わせました。
あれ?あの娘さんだよね?
と、思うほど穏やかな丁寧な静かな娘様とのご対面でした。
娘様『あの当時は、何とかしてお母さんに元気でいてもらいたかったから』
と、物静かにお話くださいましあ。
娘様『お母さんは寝たきりでほとんど目も開けてくれないけど、私の娘(孫さん)は「おばあちゃん、いつ帰ってくるの?」って、待ってるんです。別に何かしてくれるわけではないですけど、そこにいてくれるだけでベッドに寝ていてくれるだけで安心するみたいなんです。』
娘様はそういいながら、患者様の手をさすりさすりして教えてくださいました。
存在することが安心を生む。
そのような関係性もあるのか、、、顔見るだけでホッとする。そんなことあるんだ、、、。
積極的なコミュニケーションだけが家族の全てではないようです。
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