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娘と私の3年生③

前回の続きになります。今回は、少し長いです。

 5分間だけ保健室で娘が私と一緒に過ごす日々が始まりました。
5分間、10分間、15分間と少しづつ時間を伸ばしながら私と一緒に保健室に着いてご挨拶をして担任の先生も来られて保健の先生と私と4人で話をし、下校するという生活を2週間ほど続けました。

 娘には
「明日隣の教室で待ってるから一人で保健室に入ってみない?」
 と提案してみると、
「また5分からでもいい?」
 と聞かれたので
「自分で決めていいよいれるだけいてお母さんをよんでもいいよ」
 と伝えると
「やってみる」
 と娘は少しづつ少しづつ心が前へ向いて行きました。

いつものように手をつなぎ学校へ向かう途中
「お母さんいつも私が一人で学校に行けなくて恥ずかしくないの?」
と聞いてきました。私は
「全然恥ずかしくないよ。○○ちゃんは恥ずかしい?お母さんは○○ちゃんが学校に行こうと思ってくれるだけでうれしいよ」
と答えました。すると娘は
「私は学校に行くことをあきらめたくない」
と私に伝えてくれました。
そんなに強い意志をもって毎日毎日登校してくれていたんだと胸がいっぱいになりました。

 私はこの登校を続けて、学校まで付き添うことはできても教室へ戻り、頑張ることは娘しかできない。子どもの社会の中には大人は入ることはできない。私が娘にできることはただただ話を聞いて、学校へついていくことだけなんだなと無力感を感じていました。でも娘がそんな気持ちの中で戦っているのであれば私も私にできることを精一杯しようと心に強く思いました。

 最初の1日目は10分間1人で保健室にいることができました。そこからまた2週間ほどかけて30分程いられるようになりました。私は隣の教室で一人頑張れと心の中で願う日々でした。

そうすると娘から
「明日から一人で保健室で過ごしてみるから30分したら迎えにきてくれない?」
と聞いてくれました。そこからは、1時間目まで2時間目まで3時間目までと少しづつ保健室にいられる時間が増えていきました。娘は心から保健の先生を信頼しているようでした。家でも先生との出来事を楽しそうに話をしてくれました。保健の先生も教室でしている授業を一緒に自習という形で一緒にやって下さいました。学校の規模としては1000人弱くらいの決して小規模校ではありません。保健の先生もお一人です。そんな大変な業務の中、大切な時間を娘のために使ってくださいました。

私もどうやったら教室へ行けるかを考えるようになり、担任の先生に娘に内緒で面談を申し込みました。

 家での様子、自宅学習の進み具合等を詳しく聞かれお話しました。
私は1学期のカンニング事件の時のことを先生は、どう思っているのか、きちんと確認をしたかったので聞くと、意地悪をする子の話をされたのでもう一度どういう状況だったのかたずねました。しかしもう一度はぐらかされました。
 私は先生から一言謝罪でもあれば、もしかしたら今の娘ならすっと先生のことを信じるきっかけになるのではないかと心の中で期待をしていました。しかし、それは難しいとその時思い、次の日毎朝子ども達の登校時学校の近くの横断歩道で交通指導をされている女性の教頭先生に面談をお願いしました。教頭先生は、
「私もそろそろお母さんとお話をする時期かなと思っていました。」と優しい笑顔で答えて下さいました。
 1000人弱の割と大きい小学校で、教頭先生が2人いらっしゃいます。私はいつも元気に挨拶をして下さる女性の教頭先生に面談をお願いすると
「明日の夕方はいかがですか?」
とすぐに時間を作って下さいました。
「私は面談が終わるまで担任の先生には内緒でお願いできますか?」
とたずねると
「分かりました。お母さんとお話してから担任には伝えます」
と約束して下さいました。 
 次の日面談室へいくといつものように明るい笑顔で待っていて下さいました。
私は1学期からのことを教頭先生にお話しました。私は娘の母なので私の主観もたくさん入っていること、先生に話をはぐらかされたように感じたこと、娘は、先生のことを信頼できていないこと1つずつ順番に話をしました。
私の話が終わるまで教頭先生は、メモをとりながら、真剣にうなずきながら話を遮ることなく聞いて下さいました。
話が終わるとまず
「お母さん本当にすみません。担任からはそのカンニングのことは何もきいてないです。娘さんは勉強も良くできてとても真面目て、優しくいい子だとは聞いていますが。。。本当に申しわけありません。担任に変わって謝らせて下さい。配慮がたりていませんでした。」
と深々と頭を下げられました。その後
「お母さんは担任に謝罪をしてほしいですか?」
ときかれたので、
「先生が自分から娘の気持ちに気が付いて謝って下さるのであれば謝罪してほしいですが、教頭先生に娘が教室へ行く勇気を出す手助けをして頂けるのであれば、謝罪は要りません。人から促されての謝罪は、要りませんし、このことは、私と主人しか知りません。仲のいいお母さんとか誰にも話をしてないです。先生のこれまでのキャリア、これからの未来を潰したいとも思ってもいません。」
とお伝えしました。すると教頭先生は、
「お母さん言いたいことはたくさんあったはずなのに言葉を飲み込んで下さってありがとうございます。私はここの教頭で、娘さんのことを守る責任があります。そして同じように担任も意地悪なその子のことも私は守る責任があります。私に任せてくれませんか。まだまだ長い人生があります。ここでくじけてはいけません。教室で勉強ができるようになるまで私が責任を持ってあずかります。」
と力強くお話をして下さいました。私は教頭先生に全てをお任せしようと決めました。
 3年生の10月の最後の週の話です。
長くなりましたので今回はここまでにしたいと思います。よろしかったら続きにお付き合い下さい。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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