はじめてのおしごと

新緑の候、みなさま体調にお変わりありませんか?
私は一か月以上放置したnoteをやっと書きあげたところです。
そうです、話を書いてから前後の文章をつけたすタイプです。

束子さんの『宗教』をテーマに綴ってもらったnoteとても面白かったと束子さんに伝えたのももう一か月以上前か。まるで昨日のことのようです。

……本当に遅くなってどうもすみませんでした。
これからも遅延めちゃくちゃあります。
忘れたころに書き上げます。

そんなわけで久しぶりの小噺、お時間ありましたらお目通しください。


*****

 昼間の暑さが嘘のように、夜はまだ肌寒い。
 普段よりも星がよく見える夜、けれど心は重く沈んでいた。

「もう嫌やねんけど、こんな仕事」

 電信柱のてっぺんにある横に伸びた棒(腕金と呼ぶらしい、初めて知った)に腰をかけて、愚痴をこぼす。独り言ぐらいの小さな声だったはずなのに、反対側の腕金に、モデル並みの凛とした立ち方をしていた相方──ジュートが「なんでなん?」と声をかけてきた「アツタカ、この前は喜んでたやん、『担当になった子、可愛い』言うて」
「いや、最初はそう思っててんけど……」
 どうしても年配の人を担当することになりがちな部署と聞いていたから、最初はほんまにそう思っててん。初めての担当が若くて可愛い女の子なんてラッキー! って。
 けれど。
「まさかあんな死に方されるとは思ってへんやん! 元カレをストーカーした挙句、脅して復縁迫って刺そうとするなんて!」
「まあな。……ほんで、揉みあいになって。最後は自分が逆に刺されちゃったんやっけ?」
「……思い出させんといてよ」
「お前が変なこと言うからやん」

 アツタカ、26歳。
 相方のジュート、28歳。

 職業、死神。
 人の死に際を見守り、魂を迎えに行く仕事。

 まさか四月の異動でこの部署に飛ばされるとは思ってなかった。
 これから先やっていけるのか──いや、どう考えても不安すぎる。

「人間怖い……もうやめたい……しんどいし、気持ちがついていけへん。おれさあ、もしかして五月病なんかも」
 不安を吐露するおれを一瞥し、ジュートはおおきく溜息をついた。
「大丈夫や、みんな最初はそう言うねん」
「……ほんまに?」
「ほんまほんま。それにな」
「それに?」

「明日にはもう6月や」

*****

お題は「五月病」でした。
多分書き上げるころには6月になっちゃうなあと思いながら、5月の最後の夜に書きました。

なにも思い浮かばなかった夜を何度過ごしたことでしょう……。

とにかく書き上げたことだけはえらい。クオリティとかはともかく。

さて。束子さんの次のお題です。
お題は「長靴」
もう梅雨ですね。
どんなnoteが返ってくるか楽しみです。

読むのは楽しいんだよなあ…読むのは…

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