見出し画像

【読書おすすめ】聞く技術、聞いてもらう技術(東畑開人)

年末にKさんに勧めていただいて、やっと読めた一冊。
どうしたら傾聴の力を高められるんだろう、人の話をフラットに、感情を波立たせずにそのまま受け取ることができるんだろうと考えて、これまで何冊も本を読みながら実践してきたつもりでした。
相手の人間性とか背景に興味を持ちながら聞く、とか
小手先で言えばオウム返しとか、間のとりかたとか相槌とか。

でも本書は易しい言葉で一刀両断です
聞くための技術はあっても実践できないのは、
相手との関係が悪いから。
それでも聞くためにはどうしたらいいか?
→まずは聞いてもらう、から始めよう。そこが足りていない。

しかーし、そこの解決方法については、本書の後半でも少し歯切れが悪くなっています。まずはあなたから、聞くことを始めようと。なんのこっちゃ、つまり聞くと聞いてもらうとを、立場を変えてぐるぐると循環させていこうという呼びかけです。

読みながら私が考えていたのは、一番聞くことが難しい相手である母についてです。他人の話は聞けても肉親の話は難しい、という方はきっと私以外にも多いと思います。
そして読み進めるほどに「自分は聞いてもらってこなかったんだな」と、これまであまり意識に上らなかったことを考えました。自己憐憫を疎むあまり、気づかないようにしてきた部分に向き合いました。

今日、私は用事があって母と数時間を過ごしました。
母の話を聞き、用事につきあいながら、一度だけ母に言えました。「ホント人の話を聞かないよねえ」そして母が小さく戸惑って、私を責めるのを受け流しながら、また母の話を聞きました。それだけで、少し楽になりました。

これをきっかけにして、母に対しても他の人たちに対しても「聞く」ことを意識的に増やしながら、
同時に「聞いてもらう」ことも増やしていけるといいなと思っています。


人間の真の痛みは何より孤独であること
聞くには、現実を変える力はなくとも
孤独の痛みを慰める深い力がある。
聞くの中核にあるのは、孤独の問題です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?