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息子と私の高校受験237日「宣告」

先生に言われたことで、私も彼を注意して見るようになりました。
提出物の事なども時々声をかけるようにしました。
でも一度なまけ癖がついてしまった息子は、そんなに簡単に変わることはできません。

勉強は全然やる気になれないし、学校も好きじゃない。

この気持ちが大きいので、相変わらず勉強には身が入らず、結局成績も悪くなるばかり。
提出物も
「持って行ったけど、いつ集めてるのかわからなかったから出せなかった。」
とかなんとか言って、出せていないものの方が圧倒的に多い状態。
何一つよくなることはありませんでした。

そして1学期の終わりの三者懇談で、とうとう宣告を受けました。

「お前さ、進学のことどう考えてるの?
 このままだと、お前、行く高校ないよ。
 働きながら定時制高校とかっていう選択はあるけど、なかなか厳しいぞ。」


これだけの事を言われたのに、彼は不思議そうな顔をしているだけで、ショックを受けたような様子はありませんでした。

そんな息子を見て、私は情けないような腹立たしいような、複雑な思いでいたのですが、その理由は帰り道にわかりました。
学校の門を出ると、彼はこんなことを言い出しました。

「あのさぁ、先生、行く高校がないって言ったけど、どういうこと?
みんな高校って行くんちゃうん?
俺さ、小学校や中学校みたいに普通に高校も行けるんやと思ってたわ。」

あーーー、なるほど。
そういうことね。

「あのね、小学校と中学校っていうのは義務教育なの。
だからさ、子供は全員中学までは行かなきゃいけないことになってるんだけど、高校からは義務じゃなくなるからね、行きたい人だけ行くようになるのよ。
だから高校は試験があってね、それに受かった人じゃないと入れてくれないの。」

「そうなん?
じゃ、俺が行く高校がないってことは、入れてくれるところがないってこと?
俺は高校に行けないかもしれないの?」

「うん。そういうことだよ。」

「そうなんや!!
今から勉強したら間に合う?」

「もちろんだよ。今からやれば全然間に合うよ。
高校、行きたいんでしょ?」

「行きたいよ!!大学も行きたいよ。」

「そっか。じゃ、やらなきゃね。」

「わかった。ちゃんとやるわ。」

中学校から家まで5分くらいの道のりを、こんな話をしながら歩きました。
彼にとって、これが一つ目のスイッチが入った出来事でした。

思い返すと、本当にエンジンがかかるまで、小さなスイッチをいくつもいくつも入れながら進んできた気がします。

そう。

残念ながら、一つ目のスイッチではエンジンはかかってくれないんです。
長らく寝てばかりいたので、ちょっとやそっとで目は覚めないし、頭も体もぼーっとしてそんなにすぐ動き出してくれません。

ここから彼の苦しい時間が始まりました。

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Belle Posent(ベル・ポーズ)
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