この夜が不安なあなたへ。ーー「池田晶子の言葉」と、「ゴッドファーザー」と、不安についてーー
「池田晶子 絶望を生きる哲学」より。
不安の正体。
「時代が悪いというのなら、あなたが悪いのだ。何もかもすぐに時代のせいにしようとする、あなたのその考えが時代の諸悪の根源だ。なぜよそ見ばかりしているのか。不安にあまえているくせに、なお誰に不安を訴えようとしているのか。」
池田晶子の言葉は、言葉ではない。
懐刀である。
刺された者はひとたび死ぬ。
しかし、のちに蘇り、その時遂に、みずからの言葉を持つ。
この夜が不安なあなたへ、私はつたえます。うまく伝えられるかわからないけど、でもそうしたいと思って頑張って書く。
不安は、不安それ自体は感情でしかない。自分のうちにうまれた感情のひとつだが、自分の感情の全てではない。
消したい。忘れたい。無くしたい。
しかし、不安を消すのに躍起になり、手当たり次第に手をつければつけるほど、感情すべてが延焼に遭い、事態は深刻化する。
それが小さなうちに、感情というホールの隅で、いちど、不安と手を組んではどうか。
ゴッドファーザーのいうところの「keep your enemy closer」理論である。(勝手に今作りました。知らない人はググってね。ちなみに名作だよね!だいすき。)
不安のほうも、寂しいから友達がほしいのだ。いちどそいつと話はしてみてもいい。しかし、あくまで主導権はこちらだ。言うまでもないが、相手には腹に隠したものがある。
ゆめゆめ、相手の言うままにされてはならない。拒否も肯定もしなくていい、ただ返事をせず、聞いておけ。「感情を認める」ということだ。
そうして不安の方には、こちらがつかずはなれずの距離を保っているようにみせながら、一方で不安以外の感情には、そのホールで美しく踊らせるのだ。
本を読み、まちを行き、人と話し、食べて、眠る。
それが十分に育ったら、不安とは紳士的に、しかし毅然と訣別するのである。
とはいえ一度は縁あったものどうし、去り際に名残惜しさを感じるかもしれないが、甘えてはならない。
そうしてあなたは町にでて、本来のあなたのあるべき姿で、あなたが人のためにできることを見つけ、そのために生きられるようになる。
しばらくするとまた、あなたより強い者が、世の中の変化をわけにして、あなたを引き摺り下ろそうとするかもしれない。
それは、「不安の権化」だ。現時点でのラスボスだ。
あなたには、今それが、あなたより強そうにみえるが、実は不安を内部に多く抱え込んでいる。
あなたより実はずうっと弱いものを持ってる。正確にいうと、本当にはあなたのほうが強くなっているのだ。
その時こそ、そいつに向かってさけべ。
「時代が悪いというのなら、あなたが悪いのだ。何もかもすぐに時代のせいにしようとする、あなたのその考えが時代の諸悪の根源だ。なぜよそ見ばかりしているのか。不安にあまえているくせに、なお誰に不安を訴えようとしているのか。」
思考をみがけと、池田晶子は言ったのだ。
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