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いがため

胃が弱い、というのか。なんというか胃のトラブルが多い。今日も激痛で動けなくなって、これは救急車か、と一瞬思った。
だが、思い出した。10年以上前に、わたしの実家で同じような痛みがあったこと。その時も、あまりの痛さに悶絶していたら、父やオットが救急車を呼ぼうかと口にした。

わたしは考えた。実家は田舎である。救急車が来たら、それはそれは大事件になるのだ。ご近所の噂話がどこまで伝播するかわからない。退屈な日常に、ちょっとした話題を提供するのも悪くはないかもしれないが、余計なことを吹聴されるのも困る。私たちは数日しか滞在していなくても、両親はそこに住んでいる。「昨夜は大変でしたね」なんて声をかけられて、「ご迷惑おかけしました」なんて答えたら、その先は「で、どうなさったの?」である。いやだ。そういうのは。

で、わたしは考えた。これは病気ではない、と仮定しよう。なんか緊張しているとか、ストレスがあるとか、そういう問題で、一つの鍵を開けたら解決への道がバーっと見えてくるのでは?
そこで母が言った。「まずは着ているものを緩めたらどうね?」わたしはジーンズを履いていた。少々サイズがキツくなってきて、ウエストがぱつぱつだったのだ。ボタンを外してしばらくしたら、ギュルルルル、と音がして、胃腸が動き出すのがわかった。すると痛みがスッと取れたのだ。

この頃のわたしは胃に問題が多く、病院に通ったりもしているので、今回ばかりは大病が頭をよぎった。しかし、原点に帰ろう。母のあの一言を思い出した。着ている服を全部脱いだ。下着も全部脱いで、緩いTシャツと寝巻きに着替えた。するとどうでしょう。胃の痛みが消えた。

太りすぎて、服のサイズが合わなくなっているという現実が痛みとして表れたのだった。もう諦めて、ワンサイズでもツーサイズでも大きい服を買うしかない。

晩ごはんは美味しくいただきました。明日は一番ゆるい服を選んで仕事に行こうと思う。

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