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いいものストック「ぼくのおはなし会」

5年前の日記が出てきたので転載。こんなに面白い話なのに、すっかり忘れていた。それにしてもこれを書き留めておいた5年前のわたしよ、えらい。

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2年生男子が「ぼくのおはなし会、きく?」というので、
木陰の石段に座って聞いた。

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じゃあいくよ。
シンデレラね。

むかしむかし、あるところに、
なかのよい王さまと、
おきさきさまがいました。
ふたりの間には、
とってもかわいい女の子がいました。
名前をシンデレラといいました。
あるとき、おきさきさまの手の上に、
ハリが落ちて、死んでしまいました。

王さまは、あたらしいけっこんをしました。
こんどのおきさきさまは、
とても美しく、つよい人でした。
そして、ひみつにしていましたが、
ま女でした。

あるとき、かがみに向かってききました。
「かがみよかがみ、世界じゅうでいちばん
 美しいのはだれ」
かがみは、ほんとうのことしか言いません。
「おきさきさまは美しいけれど、
 世界で2番目です。
 いちばん美しいのは、シンデレラです」

おきさきさまはキーッとなって、けらいにシンデレラを
ころすように命令しました。
そして、シンデレラのしんぞうを
持って帰るように言いました。
けらいは悪い人ではありませんでしたので、
シンデレラを森にかくし、
シカのしんぞうを持って帰りました。

シンデレラは森を歩いていました。
小さな家を見つけて、
二階にあがりました。
するとそこには、
7つのベッドがならんでいました。
シンデレラは眠くなったので、
そこでねました。

そこは7人の小人の家でした。
小人たちは家に帰っておどろきました。
なにかがぜんぶおかしいのです。
イスはすこし動かしたあとがあるし、
だれかが入ったような感じがしました。
二階にあがってびっくりしました。
そこにはシンデレラが寝ていたのです。

その小人たちは、
「こいつをころしてしまおう」
とそうだんしました。
シンデレラは目をさましてびっくりしました。
「ここではたらくなら、ころさずにいてやる」
と小人たちが言うので、
シンデレラはそこではたらくことにしました。

おしろに、けらいがしんぞうを
持って帰ってきました。
おきさきさまは、また、かがみに聞きました。
「かがみよかがみ、世界じゅうでいちばん
 美しいのはだれ」
するとかがみは、こう答えました。
「この世界でいちばん美しいのはシンデレラ。
 おきさきさまは2番です」

おきさきさまは、またキーッとなって、
今度は自分がころすことにしました。
さいしょ、リボンでシンデレラの首をしめました。
でも、小人がそのリボンを切ったので、
シンデレラは生きかえりました。
つぎに、毒をぬったつえをさしました。
小人がそのつえをぬいたので、
シンデレラは生きかえりました。
そこで、こんどは毒りんごです。
シンデレラがそれを食べてのどにつまらせると、
そこにやってきた若い王子が
愛のキスをしました。
するとシンデレラがおえっとなって、
りんごを吐き出し、生き返りました。

いよいよ怒ったおきさきさまは、
竜になってシンデレラにおそいかかりました。

それを若い王子がたたかって、
勝ちました。
シンデレラと王子はけっこんして、
しあわせにくらしましたとさ。

めでたしめでたし。

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すごいお話だねー。
じぶんで作ったの?

「おかあさんが話してくれた」
へえ、おかあさん、やさしいね。

(首をかしげながら)
「おかあさん…やさしいかな」

じゃあ、どんな人?
「うーん。こわくて、やさしい」

ふうん。そうなんだね。
「じゃ、おわり!ばいばい」

たたたーっと走っていきました。

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少年は、今はもう中学一年生のはず。顔も名前も思い出せない。

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