見出し画像

つくおき

作り置きの手料理に憧れる。何品も作って、1週間の食卓を効率よく回すことができたら、どんなにいいだろう。

ドラマ『コントが始まる』の先週のシーンで、妹が姉のために料理の作り置きをしておき、仕事から帰った姉がそれを食べて涙する、というシーンがあった。こんなに作るなら、どれだけ時間がかかるだろうか、と思うほどの量だった。10品くらいあったと思う。

ドラマ『逃げるは恥だが役にたつ』でも、みくりが平匡に1週間分くらいのご飯を作り置きして、冷蔵庫に入れておく、というシーンがあった。

うらやましい。疲れて帰ってきて、作り置きのお惣菜があるなら、ご飯を炊くだけでいいし、家にアレがある、と思うだけで心穏やかに帰宅できる。

お惣菜の作り置きでなくてもいい。研いだ米を冷蔵庫に保管するとか、玉ねぎの皮を剥いてあるとか、もやしの根を取ってあるとか、そういう下ごしらえみたいなものだけでも助かる。

では、誰がその作業をするのか。わたしである。わたしが翌週のわたしのためにやるのだ。そうやって少しでも楽をしようと思って日曜日にがんばる。

なのに。作り置きのつもりで大量に作ったおかずを家族が一晩で食べてしまう。いや、もっと困るのは、「常備菜」として作ったのに、「残りもの」と思った家族が、翌日は手をつけないことだ。なんなのあなたたちは。

おかずだけではない。少しずつ食べようと思ってチョコレートを冷蔵庫にしまっておいたら、見つけた人がペロリと食べてしまう。アイスの買い置きも、チーズも、柿の種さえも。

冷蔵庫にあれがある、と思っていたのにないことのショック。「明日のお弁当は冷蔵庫のご飯を温めればいいや」と思っていると、タッパーに入れたご飯が半分なくなっている、なんてことはしょっちゅうだ。まだあると思っていたハムとか、麦茶とか。夜食を食べる人たちには油断ができない。

そんなこんなで、わたしには隠しておくクセがついた。食材も、ごはんも、おかずも、お菓子も。冷蔵庫や食器棚やシンクの下の棚に隠す。それでうまくいくこともあるのだが、「こんなところに!」と嬉々として食べる人がいるし、わたし自身もどこに保管しておいたのかすっかり忘れてしまい、賞味期限が切れることもある。

家族って、コントロールできない。もはや自分ですら。



サポートいただけたら、次の記事のネタ探しに使わせていただきます。