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こしゆ

子どもの頃は父方の祖母と同居していて、ずいぶんとお世話になった。

『おばあちゃんの知恵袋』みたいなことをあれこれ教えてくれたのだが、その全部を今すぐに思い出せないのが残念だ。普段は忘れていて、何かをきっかけにふと思い出す。

今日思い出したのは「腰湯」だ。体がだるかったり、風邪気味だったりして、「今日はお風呂に入りたくない」と言うと祖母は「腰湯だけでも」と勧めた。文字通り、腰まで湯に浸かることだ。湯船に入るのだから、当然、下半身は洗う。しかし、上半身の服は脱がないのだから、奇妙な入浴方法だ。腰まで湯に浸かって100まで数えると体が温まってくる。そのまま風呂から上がってパジャマに着替えることもあったし、どうせここまで脱いだのだからとエイヤッと全部脱いで一から入浴をし直すこともあった。

今考えると、あれは半身浴だった。体調が悪い時、体を温め、血行をよくするためにやらせていたのだろうと思う。上半身を脱がないのは奇妙な格好だったが、子どもが裸で半身浴をするのは肩が冷えると思ったのだろう。昔の風呂場はすきま風が入ってくるような場所で、風呂場自体が十分に温まるまでに時間がかかったのだ。

今日、半身浴をしながら祖母のことを考えた。知恵袋的なことが、まだ他に何かなかったかと思い出そうとするのだが、眠さに負けてしまった。

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