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つけたし

今日、ムスメがわたしのスマホを間違って学校に持って行った。一日中、スマホのない状態で仕事をしていた。

家に帰る時、いつもは「晩ごはんになに食べたい?」とLINEしたり電話をかけたりするのだが、今日は自分で判断しなければならない。なかなかのミッションである。

そうだ。お刺身を買って帰って、手巻き寿司にしよう。なぜなら、今日はオットの晩ごはんが要らないのだ。手抜きかつごちそう。ええじゃないか。

わたしは食いしん坊である。肉も魚も野菜も米も麺もパンもお菓子も、とにかく「おいしそう」と思ったら食べずにはいられないのだ。食い意地が張っているとも言うが、とにかく試してみないと気が済まない。

しかし、お刺身を酢飯に乗せながら、なんの脈絡もなく、わたしはふと思った。わたしの母の実家は、漁村にある。祖父は漁師で、祖母が魚屋。これまでうまい魚をごまんと食べさせてもらった。売り物にならないような雑魚でも、旬の時期で鮮度が良いと、本当に美味しかった。いや、祖母の刺身でないと、美味しいと思えないのだった。

だから。わたしはもう、一生分の美味しい魚を食べ終わったことにしよう、と思った。もう十分にいただいた。これから先は、オプションである。美味しい魚を食べる時、わたしは「上乗せ分」をいただいているのだと思って、さらに感謝しよう。そうでもないお刺身を食べる時、「だってこれはオプションだから」と思えば損をした気持ちにならずに済むし、そうでもなさそうなお刺身には箸をつけずにやり過ごすこともできるだろう。

しかし、魚はこうできても、お菓子にはまだ未練がある。なーんだ。もう悟ってしまって、あとは死ぬだけかと思っていが、まだまだ生には執着しているのだな。

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