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きっちり

このところ、料理するのが面倒くさい。やり始めるとなんとかなるのだが、やり始めるまでがどうにもこうにも。

日常の料理は全部目分量。味付けも材料のバランスも、テキトーにやってきた。特にカレー。毎週のように作るので、本当にテキトーである。成功したと思う時もあるけど、こんな味でいいのか?と思うことも多い。何か物足りなかったり、ちょっと濃過ぎたりする。

そこで今回は、カレールーの箱に書かれていた通りの分量で作ってみようと思った。牛肉300gとか玉ねぎ500gとか。きっちりとハカリを使ってやってみた。

話はそれるが、『南風食堂』という沖縄料理の店があった。そこは居酒屋なのだが、昼間だけ間借りをしてカレーを出す女性がいた。注文をすると、料理人がハイ、と返事をして材料を取り出す。目の前で鶏肉やにんじんをハカリで軽量している。え。これから煮るの?と思うのだが、とにかくそのキッチリと量る様子が理科の実験みたいにとても慎重なので、少し滑稽にも感じるが、その目盛りを見つめる生真面目そうな眼差しに笑うことは許されない空気だ。黙って料理が出てくるのを待つ。

普通のカレー屋よりも少し時間がかかったが、出てきたカレーは絶品であった。だから、材料をきっちり量ることが大事なのかも、と思ったのだ。

レシピ通りの材料を量って、『ミステリという勿れ』の整くんが言うように、できるだけ細かく切った。レシピ通りの手順を進め、レシピ通りの時間で煮込んだ。

どうだ、今日はお手本のようなカレーができたんじゃないのか。非の打ち所がない味になったはずだ。そう思って食卓に出したら、家族は味については何も言う事なく食事は終わった。

オットに「今日のカレーの味はどう?」と聞いたら「カレーですね」と答え、ムスメに同じことを聞いたら「うん。いつも通り、おいしいよ!」と答えた。

これからは、精力的にテキトーにやろうと思う。


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