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四月物語

昨日退院して、まずやったことは、台所の洗い物を拭きあげて、棚にしまうことだった。その後、洗濯機を4回まわして、干して、掃除機をかけ、トイレ掃除をした。洗濯物を取り込んでたたみ、オットが夕食はデリバリーにしてくれたので、スープを作り、食事のあとは洗い物をした。

やりすぎた。

退院とはいえ完治じゃないからね、無理しないでよ、と医師に言われていたが、入院前のあの体の苦しさから解放されて、あれもこれも「できるわー」とやってしまったのだ。

今日は朝からすごく頭が痛い。できるだけ入院中のリズムを崩すまいと思って、7時に起きて朝食を作って食べた。それからなるべく横になっていようと思って、WOWOWの「北欧クライムサスペンス FACE TO FACE」連続ドラマ全8話をぼんやり見ていた。見ているうちに集中してしまって、頭痛がひどくなった。それで、ゴロゴロしていたら、また退屈してきたので、スカパーで録画してあった「四月物語」を見た。1998年製作。松たか子が、田辺誠一が、光石研が、古舘寛治が、みんな若い。加藤和彦も健在だ。いいぞいいぞ、面白くなりそうだ。これからどうなる松たか子、どうするどうする田辺誠一、そして加藤和彦はどう絡んでくるのか?とワクワクしていたら、映画はそこで終わってしまった。

「えーーーー!」と大声を出してしまって、ムスメがびっくりしてこっちを見た。「ここで終わるなんて…うっそー」と叫んでしまった。そんなはずないじゃない。続きがあるはずだ、と何度も疑った。

実は1998年か1999年に、わたしはこの映画を劇場で見ている。だからストーリーは知ってるはずだった。鑑賞後に良い気分で家路に着いたことも思い出せる。「そうそう、こういう話だった。このシーンは覚えている」と思いながら見ていた。それなのに、この終わり方を忘れていた。つまり、その続きを見た気でいたのだ。新生活の中で感情表現が不器用な松たか子が、弾けるような笑顔を見せて、雨の中を駆けていく。この続きは、こうなって、ああなって、と、勝手にわたしの脳内で物語が続いていたのだ。岩井俊二監督すげえ。観客にそこまで想像させる計算ずくで「はい、ここまで」と幕を引く。ニクイ。

そんなこんなで一日中、頭も心も休まることがなく、頭痛も治らない。これが自業自得というものか。

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