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うずまき


6月6日は、ロールケーキの日だそうで。

失礼を承知で言うが、子どもの頃、ロールケーキは格下だった気がする。「ケーキをどうぞ」と言われて、ワーイと箱を開けたらロールケーキだったという場合、「あ…ありがとう」となる。クリームも苺もチョコレートも乗っかっていない素朴な姿は、華やかなイメージの「ケーキ」には程遠くて、「なあんだ」と一瞬思ってしまうのだった。

しかも、田舎町のケーキ屋さんの商品は、スポンジ生地がパサパサした感じだし、中身もバタークリームだったりして、もう、菓子パンくらいの印象になってしまう。

2000年代の初め頃、ロールケーキブームが訪れた。それはそれは大人気で、たまごをたっぷり使ったり、こだわりのバターや小麦粉だったり、どこぞの有名パティシエが作っただのと、付加価値を訴える商品がたくさん登場した。観光地ではご当地ロールが続々と現れて、並んで買う人もたくさんいた。今では、ロールケーキはスイーツのいちジャンルを確立しているけれど、自分で買ってまで食べようと思えないのはなぜだろうか。

とはいえ、6月6日がロールケーキの日と知って、わたしはネットでロールケーキを買って、実家に送った。と書くと、親孝行みたいに思われるかもしれないが、そうじゃない。先月いっぱいで切れてしまうネットショップのポイントが、ちょうどロールケーキとその送料分くらいあったのだ。

先ほど写真付きでお礼のメールが届いた。正しく「のの字」に渦巻いたロールケーキが皿に横たえてあった。よほどの厚みがないと立てられないくらい、柔らかそうだった。皿は和柄で、ちょっとそれはケーキを乗せる雰囲気ではないよ、と思ったが、まあ喜んで食べてくれるならそれでオッケー。

きっと仏壇にも同じ皿に盛られて、供えられたと想像する。

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