データまとめ

CL リバプール対ザルツブルグ 王者と我らが南野と  〜定性分析&定量分析〜

前置き

お久しぶりのnoteでの投稿、データを絡めそうな時にはこちらを使用するつもりである、統計〜機械学習への道は遠いことを実感する日々。あと就活中なのでもしかしたら見ている人事のあなた様内定ください。

今回取り上げるのはアンフィールドで行われたリバプール対ザルツブルグの1戦。南野の活躍もあり話題のゲームであろう。メンバーはこんな感じ。

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ザルツブルグは初めての観戦。レッドブルグループでドイツのライツプヒの弟分なのだとか。それでもCLはすごい。監督はアメリカ人でCL史上初なのだとか。対するリバポはマティプに変えてゴメス。他はいつもの人々。

ワンサイドゲーム

開始から主導権を握ったのはリバポ、ボールを保持しながらゲームを進めていく。

噛み合わせ

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ザルツブルグは高い位置から2トップでプレスをかけつつ、SHの二人(ショボスクライと南野)を中寄りに位置させて高い位置に進出していく。一例としてはこのシーン。ボールサイドに人数を掛けて、ボールを奪われた後高い位置で素早く奪回し速攻。

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このプレスに対してリバポは⑴ファビーニョ⑵SBの活用⑶ロングボールなどを用いて前進していく。

ファビーニョの使い方の例

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IHが動くことでスペースの創出を狙う。ヒチャンとダカはCBがボールを持つときはアンカー(ファビーニョ)のコースを制限していたが、この場面では抑えきれず。またこの瞬間にフェルミーノも浮いており、中央の制圧を測る。実際にこの場面ではファビーニョがサラーに叩いた後、ダイレクトでフェルミーのにパスが行く。

SBの活用

一番ザルツブルグが苦しめられたところだろう。両SBが高い位置をとり、南野とショボスクライを困らせていた。単純に考えると、リバポは3センター+両SBで5枚、ザルツブルグは中盤4枚で対応を強いられていたため、スライドが間に合わない場面が散見される。

1失点目はザルツブルグの包みこむ守備を逆用しており、SHが絞る分逆サイドが空きやすくなることを活かしてサイドチェンジから左サイドを崩しマネがゴールでリバポが先制する。ワンツーの精度フィニッシュ共に完璧であった。

リバポの追撃

先制後はややロングボールの比重を落としボールを保持しながら進める意思を見せる。その一手がIHがSBの位置に落ちるプレーである。いわゆる基準点をずらすというやつである。

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11分に動きだすワイナルダム、続いて以下の形も。

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外ぎりの南野と誰を見ればいいか困るクリステンセン。間のHSを活用するマネ。

この辺りからSHーSB間を上手く使われ初めて困るザルツブルグであった。この辺をやられた理由はリバポが上手いのもあるのだが、ザルツブルグのSHがやや高く4-2-2-2的な布陣で挑んだ事も理由にありそう。特に南野のところはワイナルダムを見るのかロバートソンを見るのかがハッキリせずかなりやられていた。

得点後もさらにSBを起点に攻めまくるリバポは、24分ロバートソンを起点に逆サイドまで展開し最後はアーノルドのクロスをロバートソンが決めて2−0とするリバポ。両SBが絡むというすごいゴールでアーノルドのクロスも素晴らしい。

ザルツブルグが苦しいのは奪った後に再奪取されるケースが多く、また奪った後は相手の裏のボールを出すのが基本であったが繋がらずという点であり、かなり厳しい展開。

リバポの両SBがこれだけ高い位置を取れるのはCBの質の高さに由来しており、ダイクとゴメス共に裏にくるボールを回収しまくることでSBの上がったスペースを使わせないリバポであった。割と晒された状態や裏に入ったのちの1対1の対応は見事。ゴメスはやや狙われていた感があったもののダカとヒチャンをしっかりと抑えていた。

マーシュの1手と躍動する南野

29分何やら監督から指示を受け取った南野は中央に移動し、ザルツブルグは4−3−1-2に布陣を変更する。

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この配置変更はオフェンスとディフェンス共に効用がある。オフェンス面では南野がリンクマンとして機能したことやSBが上がりやすくなったこと、ディフェンス面ではマークがハッキリしたことである。

特に南野が攻撃時のつなぎ目となり徐々に攻めることができるようになるザルツブルグ。しかし35分空いたロバートソンからマネの入り、クロスをサラーが押し込み3−0とするリバポであった。

38分高い位置でボールを奪ったザルツブルグはダカーファンヒチャンと繋ぎ、ダイクを交わしてゲット。見事な切り返しであり、ファンヒチャンの切り返しは目を見張るものがある。

後半

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引き続き後半も攻め立てるリバポ、SBのサイドチェンジを起点としてボールを保持しながら前進していく。ザルツブルグは布陣変更後マークがハッキリしたことにより、誰がいくねん?な状況は改善されるも単純に個で剥がされる場面が目立つ。ただ徐々にザルツブルグも押し返して行くようになり、具体的にはトランジションでリバポに負けないようなって行く。

54分自陣でボールを奪ったあとにファウルをゲットし、リスタートからの速攻で南野がゲット。59分には自陣でのボールカットから敵陣に運び最後をホランドが決めて同点に。南野がギャップを上手くついたのがポイント。

ザルツブルグは基本的に奪った後に敵陣の背後にボールを入れるプレーは徹底しており、ダイクとゴメスに対してヒチャンとホランドをぶつけ続ける展開。こぼれ球などのセカンドボールは南野が上手く処理し前線に繋げることでチャンスを作っていく。

イケイケドンドンな展開であったが68分PA内で処理がもたついたところをサラーとフェルミーノが突き勝ち越しに成功する。

ザルツブルグは奥川やアシメルa.k.a風貌がデリックローズを投入し攻めるも及ばず。

リバポが熱戦を制した。

データ分析編

ここからはデータを扱いながら定量的な評価をしていきたい。

今までちょくちょく載せていたデータの分析方法を元に解析を行っていこう。

詳しくはこの記事を読んでね!!

この試合では印象としてザルツブルグが奪取後のリバポの奪回プレスに苦しんでいるというものがあった。そこでザルツブルグのトランジションを起点にこの試合を見ていこう。

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この図はボール奪取位置のログをとっており、時間と奪った後のプレーを示している。このボール奪取の定義は一対一の奪取や競合い付きのパスカットなどのより純粋なボール奪取のみを取り扱っている。

奪取後のプレーはボール保持、速攻、クリア、ロストに分類している。

奪取後のプレー選択の数を見ているのがこちら。

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速攻が大半を占めており、ザルツブルグが奪ってからの速攻を基盤にしていることがわかる。ただ、リバポの再奪回のプレスが強烈なこともあり蹴らされる場面もかなり多かった印象もあり決していい速攻が多かった訳ではない。ではこの次に保持、速攻を選択した後の結果がどうなったのかを見ていこう。

データまとめ.001

成功の定義では自陣で奪った場合は敵陣に侵入するかボールキープ、敵陣ではチャンスを生むところまで行くかマイボールになったところは成功としている。この辺りは指標としてもう少し改善の余地があるかもしれない。成功と失敗は半々ぐらいで、ザルツブルグ のゴールは全てここから生まれている。ただ再奪回からカウンターを食らうことも多く、トランジションに強い両チームがせめぎ合っていることがわかる。

続いては奪取後の詳細を

データまとめ.002


赤い線は速攻を、青い線はボール保持を示している、グレーの点は奪取位置で黒い点は最終的に到達した点を示している。カーブ線はロングボールで直線はグラウンダーのパスを示している。

前半は奪取後に再奪取されることがよくある印象だったがが、図で見るとロングボールで速攻を行った時はロストになる傾向が見られる。これはダイクとゴメスの両CBの優秀さの裏付けであり、実際パスカットや1対1で完勝する場面が多い。また、奪った後のロングボールがゴメス側が多いことも読み取れる。

成功の場面では南野の能力が光る。回数的にはヒチャンがやダカの方が多いが成功率では南野に部がある。ヒチャンとダカではヒチャンの方がボールを収めており、ダカはプレーには関与しているものの不満の残るプレー内容だったか。

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後半はよりヒチャンがボールを収める展開に。奪取数も減少し、再ロストや攻撃後ロストなど奪い返される展開が目立つ結果に。

ここからは時間別の表を見ていく。

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序盤であったり後半の中盤のリバポが支配している印象がこのデータからも裏付けられる。特に前半の序盤はリバポのプレスが強烈だったのでこの結果にも納得である。

ただリバポが2点目を獲った以降やザルツブルグが巻き返した後半15分あたりまでの時間帯(30分〜60分)は奪取数や奪取後の成功数も多く、ザルツブルグが押し返している.この時間帯は布陣を変更した時間と重なり、ある程度この変更は有効だったのではないだろうか。

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(引用sofascore https://www.sofascore.com/liverpool-red-bull-salzburg/UsWP)

こちらはsofascoreが提供しているデータの引用で、バーが大きいほど押しているらいしいのだがこのデータともよく統合性がありトランジションからも試合が理解できる感じだと思われる。


感想


今シーズンみる機会の多いリバポであるがSBの強烈さが際立つ。3トップも盤石でリーグも獲りそうな雰囲気。散々気になっているIHであるが、SBへの移動やSB前への移動などの高負荷な役割なため人選がヘンダーソンやミルナー、ワイナルダムなどになるのも納得なのかも。ただIHの技術的な限界もちらほら見られるのでケイタやチェンバレン辺りに期待したいところ。

ザルツブルグ、序盤はリバポに圧倒されるも一度は追いつくなど素晴らしい出来ではなかろうか。特に我らが南野は出色の出来で、リバポ相手にも堂々たるプレーを披露し1ゴール1アシストの活躍を見せる。

最後にデータ分析であるが、ある程度筋の通った議論はできているような。ただプレーの定義付けが難しく、どこまでを速攻としてどこまでをクリアとするのか、保持なのか速攻なのかはより厳密に決める必要があるかも。

分析ももう少し統計に踏み込めればいいのだが。。。

fin


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